SIONライヴ・レポート:「怒り」の“続き”

By RollingStone Japan 編集部

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2011年は日本にとって、日本人にとって特別な年だった。
その2011年の“ライブ見納め”が12月17日東京代官山UNITで行われた“SIONアコースティックLive2011”の最終日のステージだった。

開演少し前に会場に着く。
会場に入るとその空気はいつもの感じだ。女性客より男性客が多く、年齢性層も若くない。みんなドリンクバーでアルコールを注文している。一人で来ている人が多いように思う。誰かと会話するわけでもなく出て来たドリンクを呑みながら開演を待っている人が多いからだ。
誤解を恐れずに言えば、そこに飛びきりの笑顔があるわけではなく、むしろ場末な感じすらする。でもその感じが凄く好きだし、妙に落ち着く。
2011年のヒットチャートを振り返ると、洋楽はLADY GAGA、邦楽はAKB48がチャートを席巻した。SIONのライブ会場にいるとそのできごとは、まるで別の星での出来ごとのように感じる。でも、なぜ、みんなテレビのお人形に夢中になれるのだろうか?
僕は、あるいは、このライブ会場にいる人々は、そんな現状には満足できず、何か光射す、あかるみを探している。
その探しもののヒントがいつもSIONの歌に感じられるから、年末の忙しい時期に、というより一年の締めに、そして来年の光を探しにSIONの歌声を聴きに来ている……そんなところではあるまいか。

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そんなことを思っていると、ライブが始まる。
SIONと松田文の二人きりのステージ。
1曲目は「雪かもな」でスタート。
アコースティックギターを弾きまくる松田文が12月に誕生日を迎え、この二人の年齢を足すと109歳だそうで、SIONは“マルキュー・コンビです!”とおどけてみせ、会場は前年の年末、この場所でのライブと同じような温かな空気に。
一瞬、2011年の出来ごとが、全部夢だったのかなぁと思ってしまう。
だが、2曲目の演奏が始まると、それが夢ではなかったことに気づく。
震災後にリリースされた宅録アルバム『Naked Tracks 4』からの曲が立て続けに演奏された。
その口火を切ったのが2曲目「この街の力まで塞がないでくれ」。
歌に引き込まれると同時に、震災のこと、福島原発事故のことを静かに思い出す。
そして、4曲目に早くも「恥を知れ」が来た。
この曲の中で唄われている“政治家よ、評論家よ、テレビよ、ラジオよ、恥を知れ!”という部分は、2011年、ロックが発したもっとも痛烈なメッセージだと思っているし、それを唄うSIONの声が2011年、僕の心を最も心揺さぶった声だった。
だから、この曲はライブの終盤に来ると勝手に思っていた。
今年、日本のロックは、本当に久しぶりに怒りを表現したし、攻めの姿勢に出た。
だから、今年を象徴するこの曲はライブのエンディング間近で聴くと思っていたのだ。
でも、4曲目に来た。意外な感じはした。とは言え、そのメッセージは少しも衰えてはいなかった。
ただ、SIONの歌への気持ちには、既に“続き”があることをこの日のライブでは実感できた。攻撃の次に来るものを感じさせてくれたのだ。

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