煙たい男たち|Case6 INORAN

By RollingStone Japan 編集部
苦みばしった男臭さと甘さが同居するルックス。口を開けば、
音楽への真摯さを語りながら、与太も飛ばす。今回は日本を代表するアーティストが登場。


男の名前はINORAN。LUNA SEAのギタリスト。それだけではない。ソロやフジロックにも出演したMUDDY APESというバンドでも精力的に活動している。超筋金入りの音楽人なのだ。音楽に心を奪われて以来、音楽への愛情をただの一度も捨てようとしたことがない。不況にあえぐ音楽業界にも、正面切ってこう言い放つ。「音楽に携わる人、レーベルもマネージメントもプレイヤーも、もっと本気で音楽の力を信じてほしい。信じてないから、こんなことになってるんだよ」

そんな言葉を本人が言い放つには、いくつか理由がある。まずは音楽と出会った時の話だ。神奈川県で生まれ育った彼が、音楽に開眼したのは地元ローカルTV局TVKのヒットチャート番組でロックを知った時だそうだ。野球少年だったINORANは、それを機にギターを始める。そして、その時以来、音楽への情熱は変わっていない。「あの時、自分は一生音楽とともに生きると思った」という。けして自分の才能に自信があったわけではないが、その想いにだけは自信があった。だから、高校を卒業する時、進学も就職もせずバンドマンになることを迷わず決意した。ただ、この時はさすがに父親から猛反対を受けたという。そして人生で最初で最後の父親との殴り合いの大ゲンカへ。その末、父親を説得した。そこまでして、音楽とともに生きていくことを選び、進み始めた。

地元の仲間と組んだバンドLUNA SEAは、90年代半ばには4枚目のアルバム『MOTHER』が70万枚超を売り上げ、10数万枚というライヴチケットが秒殺で完売するスーパーバンドとなった。だが、このバンド、デビュー前は一度もライヴハウスのオーディションに受かったことがなかった。幾度もデモテープを送ったが、ステージに抜擢されることはなかった。〝それだけ自分たちの音楽はどこにも属さない独自のものだ〟と解釈し、自分たちにしかできないことを全力でやったという。オーディションに受からなかったのでライヴはすべて自主企画で、それこそ手売りでチケットをさばき、自分たちでライヴハウスを満員にし、会場に来たオーディエンスを100%満足させることに全身全霊を捧げた。「俺ら、本気でしたよ」、そう当時を振り返った。むしろそんな本気の5人だけが集まったのがLUNA SEAというバンドだった。だから、道は自然と拓けた。

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