煙たい男たち|Case9 窪塚洋介

By RollingStone Japan 編集部
見事な煙草の吸いっぷりと、不敵なアティテュード。
今回は、信念を貫くため、時に世間を騒がすこともある
男のストーリーである。


「最近、『吸うな』とは言われるけど、『吸ってくれ』って言われることはまずないんで。ちょうど、一服したかったからうれしい」。そう笑顔で言うと、バッグから巻き煙草を取り出し、慣れた手つきで巻いた。「変なものは入ってないですよ」。そういうとニヤっと笑った。どんなイメージを持たれているのか、よくわかっているのだろう。火をつけ、美味しそうに燻す。その姿が何ともカッコいい。さすが、窪塚洋介。本物の役者だ。

窪塚が役者デビューを果たしたのは、高校生の時。もともと役者志望だったわけではなかった。むしろ、ごく普通の子供だったと言う。中学を卒業し、高校に入る前の春休みに、最初の事務所に、誘われるがまま所属した。そこが俳優の事務所だったため、演技論を徹底的に叩き込まれ、自然とその魅力に取り憑かれた。「人間誰しも、一度はほかの人の人生を生きてみたいと思うでしょ? 役者はカチンコが鳴った瞬間、その世界に生きることができる。それを人に望まれる。本気で取り組めば、その分、自分の人生も濃くなる。お金もらえるしね(笑)」

いつしか役者であることにプライドを持つようになり、全力で演技の世界にひたっていった。そして、ほどなくその才能が世に認められる。2001年公開の映画『GO』で見せたその圧倒的な存在感は、その年の映画賞を総ナメにするほどだった。ただ本人はそうした喧騒には無頓着で、今もまだ見ぬ頂を、一歩一歩目指している途中であり、すべてが通過点だと言う。「よく全盛期の頃と変わりないですね、って言われることがあるんだけど、俺からしてみたら『え?』って感じなんです。〝俺、もう全盛期すぎちゃったんだ。今のがいいのに〟って」

『GO』以降、窪塚はさらに役者として進化を続けた。だが、その矢先。例の事故が起きてしまう。04年の転落事故だ。自宅マンションの9階から窪塚は飛び降りた。幸い、一命は取り留めたが、大ケガをし、自殺説、ドラッグ中毒説……さまざまな憶測を呼ぶこととなる。役者としては大きな痛手を負ったのだ。改めて事故についてきくと、「本当に覚えてないんですよ。いろんなことを言われましたけど、ドラッグをやっていたわけでもないし。その日、アメリカに行く予定で、荷物も全部準備してあって。家庭も持って、子供もできて、仕事も順調で。自殺する理由なんてまったくなかった」と隠す様子もなく、淡々と答えた。

TOPICS

RECOMMENDED