煙たい男たち|Case13 Char

By RollingStone Japan 編集部
卓越した演奏技術で、数々の名演を残してきたギタリストChar。
レジェンドが切り拓いてきたロックな道のりとは。


話すと、とても優しくてユーモラス。そして人懐っこい。そんなCharだが先日、ライヴで意外な一面を見た。盛り上がったステージ。アンコールに応えて出てきたものの、機材トラブルなのか、ギターの音が出ない。途中で復旧こそしたが、最後には愛用のフェンダー・ムスタングを放り投げてしまった。「久しぶりに投げたね。一回ああいうことやっとかないと若い楽器は調子に乗るから」

Charはいつもギターと一緒だ。初めてギターを手にしたのはまだ子供の頃。5歳上の兄の影響だった。「小学校1年の時の担任が、『この子には芸術的なことを習わせたほうがいい』って母親に言ったんだよね。それで母親がピアノを習わせた。でもピアノ教室にいるのって女の子だけだし、まさに“習い事”っていう感じがして行きたくなかった。俺にとってピアノは強制された“マスト”だったけど、兄貴のギターは“ウォント・トゥ”に見えたんだよね」。やがて彼は兄の留守の合間に、ギターをこっそり盗み弾くようになった。

後に自分のものを手に入れたCharは、寝ても覚めてもギターを弾く毎日を送るようになる。抱いたまま眠ってしまうようなことも多かったそうだ。当時は教則本があるわけでもなく、ましてやYouTubeなどもないので、兄のレコードをこっそり聴いては耳コピをしていた。数々のロックバンドがデビューし、多くのギタリストが世に輩出された時代。エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、早弾きを得意とするテン・イヤーズ・アフターのアルヴィン・リー、そして何と言ってもジミ・ヘンドリックス。プログレなどの個性的なロックも開花していった。多感な年頃だった彼は、それらの音楽を貪欲に吸収していった。

事件は、高校受験を前に起きた。部屋に貼られたジミヘンのポスターを見た父親が、「受験生の部屋じゃない」と言って剥がしてしまったのだ。ジミヘンがウッドストックのステージに立っているポスターだった。悔しかった彼はその時、いつかプロのギタリストになって見返してやろうと思ったという。さらに練習に打ち込むようになり、スタジオに呼ばれてはプロに混じってレコーディングへ参加するようになっていく。

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