中川 敬、サードソロアルバム『にじむ残響、バザールの夢』リリースインタヴュー

By RollingStone Japan 編集部

─なるほど。洋楽のカヴァーも秀逸ですね。特にラストのビリー・ブラッグのカヴァー「団結は力なり」は、アルバムにかなりの意味を持たせているし。

「今年日本公開された映画『パレードへようこそ』のクレジットロールにこの曲が流れる。この映画は1984年のイギリスの炭鉱ストライキの話でね。ウエールズの片田舎の炭鉱ストをロンドンのLGBTの若者が支援する、実話を基にした映画で。その最後の最後でこの曲がガーンとかかるのね。映画観ながら、『ずるい!』みたいな(笑)。そこでふと、1992年にビリー・ブラッグとミュージックマガジン誌上で対談したときに、いつかビリーの曲のカヴァーをしたいっていう話を彼にしたのを思い出して。速攻で日本語化して許諾とって」

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─しかもこのタイミングで、このカヴァーはすごい意味がありますよね。ただ、その一方で『デモをやっても世の中が変わらない』みたい意見もあるじゃないですか。

「いやいや、デモが世の中を変えていくのは、もはや世界の近代史が証明してる。公民権運動の時に、ジョンソン大統領が公民権法の署名を決断したのはワシントンDCでデカいデモがあったから。オーストリアで一基だけできてしまった原発が結局稼働しなかったのは何十万人もの人が集まったデモがあったから。そんな例が無数にある。みんなよく“デモって社会を変えられないかもしれないけど、権力にプレッシャーを与えられる”とか言うけど、その言いようですらデモを過小評価してて、それは今までの日本のデモの規模の問題、それにマスコミの取り上げ方の問題がある。それと……」

─それと?

「選挙について言えば、例えば、その時期にしても彼ら(政治家)が決めてしまえる。ところが、デモの時期はこちらが決められる。デモクラシーの主導権はこちらにある。選挙制度でこぼれ落ちてしまった民意を補完するものとしても、直接行動は重要やね」

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