ガンズ・アンド・ローゼズのクレイジーな瞬間50選(後編):1989 ~ 2010年

1990年5月:スティーヴン・アドラー、ドラッグ中毒のためガンズ・アンド・ローゼズを解雇される
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Photo by Krasner/Trebitz /Redferns

ガンズ・アンド・ローゼズのようなメンバーそれぞれが問題を抱えたバンドが、ドラッグ乱用を理由にメンバーのひとりを解雇すれば、深刻な問題になることは明白だ。90年の5月には、スティーヴン・アドラーがヘロインとコカインの使用をコントロールできない状態であることに、バンドは我慢の限界に達していた。ストラドリンによると、アドラーはこぼれたコカインを吸おうと床を嗅ぎながら這いずり回るような有り様だったという。後にアドラーは、自分にドラッグを教えておきながら中毒になったからといって解雇するのは不当だとして、バンドを相手に2600万ドルの損害賠償を請求する訴訟を起こした。


1990年10月30日:アクセル・ローズ、ワインの瓶とチキンによる暴行容疑で逮捕される
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Photo by Mick Hutson/Redferns

「隣にきちがいが住んでるんだ」 ― 隣人の頭を空のワインの瓶で殴った容疑で釈放されたアクセル・ローズはテレビ番組のレポーターに語った。ウェスト・ハリウッドの高級高層マンションでローズと同じ階に住んでいた被害者によると、ローズはほかにも彼女を目がけてチキン1ピースを投げつけてきたという。ローズの主張によると、ご近所トラブルは彼が越してきたときから始まり、さらにエスカレートしたという。結局、事件は免訴となったが、ローズはそのまま引き下がらなかった。彼がアルバム『ユーズ・ユア・イリュージョンI』のために書いた曲のタイトルはそのものズバリ、「ライト・ネクスト・ドア・トゥ・ヘル」(地獄はすぐ隣)だ。


1991年6月2日:セントルイス暴動
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Photo by Peter Still/Redferns

セントルイスに隣接したリヴァーポート・アンフィシアターで行われたガンズ・アンド・ローゼズのライヴが始まって90分、無許可で撮影している人物を最前列に見つけてアクセルは激怒した。そして、カメラを没収するよう要請したのを聞き入れなかった警備員に、さらに激高した。「俺が取り上げてやるよ!」とアクセルは叫び、観客の中に飛び込み、犯人を激しく殴りつけ、ステージへ戻った。「役立たずの警備に感謝するぜ。じゃあな!」と彼は宣言し、マイクをステージに投げつけ足早に立ち去ると、二度と戻って来なかった。その後の暴動で大勢のファンが負傷し、ガンズ・アンド・ローゼズはセントルイスから永久追放されることとなり、アクセルは4件の軽犯罪と1件の物的損害による訴因で5万ドルの罰金を科せられた。アクセルはその仕打ちに対し、『ユーズ・ユア・イリュージョン』IとIIのライナーノーツに“くたばれ、セントルイス!”と心のこもったメッセージを掲載して応えた。


1991年9月17日:アクセル、メディアに「リングに上がれ」と要求
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Photo by Peter Still/Redferns

大ヒットアルバム『ユーズ・ユア・イリュージョンII』に収録された「ゲット・イン・ザ・リング」(リングに上がれ)は、アクセル・ローズとメディアの浮き沈みの激しい関係の明るく描いた曲で、特にローズの怒りを買ったジャーナリストやメディアを名指ししている。実名を挙げると、ヒット・パレイダー誌の編集者のアンディ・セッチャー、ケラング誌のライターのミック・ウォール、サーカス誌の全スタッフ、ポルノ業界の実力者で身内のヒーローとして崇められた父を持つスピン誌の創設者のボブ・グッチオーネ・ジュニアだ。ローリングストーン誌のクリスチャン・ライトは、「リング」を『ユーズ・ユア・イリュージョンII』における“失敗作”で、その生意気で侮蔑的な態度を“バンドを中傷する人間を名指しで挑発しているが、卑怯な手段だと言わざるを得ない”と評した。しかし、時を経て本作は、ハードロック最強のディス曲として語り継がれている。


1892年8月8日:モントリオール暴動
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Photo by Bill Turnbull/NY Daily News Archive via Getty Images

その夜、ジェイムズ・ヘットフィールドはパイロテクニクスの事故で重傷を負い、メタリカのオリンピック・スタジアムでのライヴは突然中止された。その夜をやり直すことができれば、ガンズ・アンド・ローゼズはステージに上がるまで2時間以上待たされることも、音響トラブル(とアクセルの喉の痛み)で9曲演奏しただけで退散することもなかっただろう。そして暴動が起き、スタジアムに40万ドルの損害をもたらした2,000人以上のファンが周辺の市街地に流れ出し、窓を割り、店を強奪し、火事を出し、車を転覆させ、ようやく警棒と催涙ガスを持った警察官数百人に解散させられた。

Translation by Naoko Nozawa

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