ツェッペリン ジミー・ペイジ:セッションミュージシャン時代の名曲20選

ザ・ローリング・ストーンズ「ハート・オブ・ストーン」(64年)
64年にヒットしたシングルがリリースされる3カ月ほど前に、ジミー・ペイジがリードギター、チャーリー・ワッツに代わりセッションミュージシャンのクレム・キャティーニがドラムで参加して録音したデモ的なバージョン。シングルのバージョンに比べ、本作はかなりラフであきらかに野暮ったい。ミック・ジャガーも高めのキーで歌っている。この「ハート・オブ・ストーン」は、75年にストーンズのコンピレーションアルバム『メタモーフォシス』に収録されるまで、実に10年近くお蔵入りとなっていた。


ゼム「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」(64年)
ヴァン・モリソンをリーダ―とするゼムは、60年代の第1次ブリティッシュ・インヴェイジョンが生んだもっともホットでカリスマ的人気を誇ったバンドのひとつ。『ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー』は、数カ月前に発売されるもあまり注目されなかったデビュー・シングルドント・スタート・クライング・ナウ』に続くセカンド・シングルとしてリリース予定だった。オリジナルは、デルタ・ブルースのギタリスト、ビッグ・ジョー・ウィリアムズが35年に書いて録音したものだが、19歳のモリソンがカヴァーしたのは49年にジョン・リー・フッカーがリリースしたバージョン。ゼムの当時のギタリスト、ビリー・ハリソンがリードギターを、ペイジがリズムギターを担当している。
『ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー』は64年11月6日にシングルとしてリリースされたが、ゼムの短いキャリアで最大のヒットとなったB面の「グロリア」に完全に喰われてしまった。


ペトゥラ・クラーク「恋のダウンタウン」(64年)
ペトゥラ・クラークが高らかに歌い上げるこの都会の賛歌は、レッド・ツェッペリンのへヴィなブルースロックとは似ても似つかない。しかし、音楽業界でやっていくには、来た仕事はたとえ畑違いであっても引き受けなければならないのだ。さらに、全米チャートナンバー1ヒットとくれば、不安定なセッションミュージシャン稼業を続けるうえで申し分のない経歴だ。『ゴールドフィンガー』と同様、ペイジの演奏は大きなオーケストラにほとんどかき消されているが、曲の中盤で愛用の黒いギブソン・レスポール・カスタムのシャープなスタブをはっきりと確認できる。

Translation by Naoko Nozawa

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