DJダヒ:ドクター・ドレー、ケンドリック・ラマーを虜にするマスター・ビートメーカー

ELIAS LEIGHT | 2016/01/31 16:00

| 「限界に挑戦するために、自分自身を追い込みたいんだ」ー ビートメイキングのアプローチについて語るDJダヒ |

「アーティストの中に眠っている才能を引き出すこと、それが自分の役割だと思っている」ー カリフォルニアに拠点を置くプロデューサー、ビートメイキングの美学について語る

多くのプロデューサーは変化を嫌う。ジミー・ジャム&テリー・ルイス、ティンバランド、そしてファレル(・ウィリアムス)らのような歴史に名を残すプロデューサーたちでさえも、過去に自身で築きあげた手法に長年頼り続けている。
しかしDJダヒは違う。DJマスタードやマイク・ウィル・メイド・イットのように、ジャンルをまたぐクロスオーバーなイメージはなくとも、彼は極めてユニークで多様な作品を生み出し続けている。

DJダヒことダコリー・ナッチェは、ルーペ・フィアスコの再生、ビッグ・ショーンとマック・ミラーの傑作アルバムへの楽曲提供、そしてヴィンス・ステイプルズのデビューアルバムへの参加など、今年だけで数多くの実績を残している。R&B界の新星ティナーシェとタイ・ダラー・サインにも曲を提供し、さらにはマドンナとドクター・ドレーという、まったく異なるタイプのレジェンドふたりの新作でも起用されている。

ダヒの個性的なビートはアーティストの隠された才能を引き出し、新たなスタイルを確立させてみせる。過去数年間で、ダヒは自身のキャリアを決定づける曲を少なくとも3曲生み出している。ドレイクの2013年作『ナッシング・ワズ・ザ・セイム』に収録されている「ワースト・ビヘイヴィアー」は間違いなくそのひとつだろう。メロディーメイカーとして見られがちだったドレイクだが、この曲は彼のよりエッジーな一面を浮き彫りにした。次作『イフ・ユー・アー・リーディング・ディス・イッツ・トゥー・レイト』は、同曲で築いたスタイルがベースとなっている。

その約1年後にリリースされたティナーシェのメジャーデビューアルバム、『アクエリアス』においてもダヒの手腕が発揮されている。狂ったミシンのようなドラムビートが特徴的な2曲目『ベット』は、まぎれもなくアルバムのハイライトだ。

ダヒは2015年夏にリリースされたドクター・ドレーの新作『コンプトン』にも参加している。ダヒが手がけたアルバムのカラーを決定づける2曲目『トーク・アバウト・イット』のビートは、まるでノスタルジーを求めるオーディエンスを真っ向から否定するかのようだ。ドレーのトレードマークであるレイドバックしたGファンクサウンドではなく、左右のスピーカーを激しく往復するその尖ったビートこそが、このアルバムを象徴していると言っていい。また2015年最大の問題作のひとつである、同作収録の『ディープ・ウォーター』のビートでも、ダヒの類稀なセンスが発揮されている。

2015年9月、ローリングストーン誌の取材に応じた彼に、ドレーやドレイク、そしてケンドリック・ラマーとの仕事について話を聞いた。
Translation by MASAAKI YOSHIDA

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