ショーン・ペンが語る:麻薬王エル・チャポとの会談(後編)

ホアキン・アルチバルド・グスマン・ロエーラ、通称エル・チャポ。彼が所在を明かさずに送ってきたビデオインタビューである。

「この記事でいくら稼ぐんだい?」彼は尋ねる。私はジャーナリズムの仕事をするときには無償だと答えた。

前編はこちらから

私には、どんな仕事であっても報酬なしで仕事をするという考え方をエル・チャポが愚か者のゲームだと思っていることがわかった。無数の国際的フロント企業の後ろに単純に隠れていたジョン・ゴッティのような、私たちがこれまで知っていたギャングとは違い、エル・チャポは違法なゲームにこだわり、誇らしげにボランティアに固執する。

「私は世界中の誰よりも大量のヘロイン、メタンフェタミン、コカインやマリファナを供給している。潜水艦の艦隊や飛行機、トラックやボートを持っている」

彼はまったく悪びれない。彼が帝国を築いたこの秘密の業界での仕事に対しても。私は目の前に座っている男がドナルド・トランプの生命に1億ドルの懸賞金をかけたと言われていた報道を思い出した。 私はトランプについて聞く。エル・チャポは微笑むと皮肉っぽく言う。「おお、アミーゴ!」。自由に話そうとする彼の無防備な意思、今の人生の状況と異常なほどの自己正当化に心地よく浸っている様子を見て、私はオリバー・ストーン監督の映画『スカーフェイス』のトニー・モンタナを思い出した。ミシェル・ファイファーが演じるエルヴィラがアル・パチーノ演じるトニー・モンタナの元を去るディナーのシーンだ。エルヴィラは公衆の面前で彼を声高に非難する。レストランの常連客たちは彼を見つめる。彼は屈辱を受けても隠れようとはせず、立ち上がって彼らに説教する。「お前らはみんなろくでなしだ。なぜだかわかるか? なりたいものになる度胸がないからだ。お前らには俺のような人間が必要なんだ。そうだ、俺のような人間がな。お前らはそのくそったれな指で指して「あいつは悪人だ」と言う。じゃあ、お前らは何だっていうんだ?善人か?お前たちは善人じゃない。お前たちはどう隠すか、どう嘘をつくか知っているだけだ。俺?俺には問題なんか何もない。俺か?俺は嘘をついているときだっていつも真実を言っている。さあ、悪人におやすみなさいの挨拶をしろ。さあ、挨拶しろ。教えてやるよ、こんな悪人に会うのはこれが最後だろうよ!」

過去20年間、エル・チャポは世界最大の影響力と利潤を持つ麻薬シンジケートを率いてきた。(USDOJ)

Translation by Yoko Nagasaka

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