マックルモア薬物依存からの脱出、ヒップホップの大御所たちとのコラボ裏話


『Downtown』のミュージックビデオは、18か月におよんだレコーディングの産物だ。始まりはライブツアーで米中西部のどこかの街を訪れていたとき。「ライアンが『モーピング・アラウンド』っていうビートを作って、俺はそれをモペッド(原付バイク)に関するものだと思った」と、マックルモアは笑いながら言う。彼は、ツアー中の単調な毎日の気分転転換のためにルイスと一緒に買った、原付バイクに関するラップを書き始めた。
ルイスはこのテーマをプロデューサーとしてのチャレンジだと捉え、『Downtown』を70年代のロックの要素も加えた5分間の大作に仕上げた。


「何かひらめいたら、どこでもいいから使えるスタジオを探して作業した」とルイスは言う。「2人の頭の中にあるものを、俺がなかなか形にできない時間が長くあった」

『Downtown』のカギとなったのは、ネットラジオでオールドスクールのラップをずっと聴いていたマックルモアが、ルイスの勧めで80年代のリズムを試したことだった。「このスタイルを確立した世代にも俺たちはアピールしないといけない、って思った」とマックルモア。「だが少なくとも彼らが気に入ってくれるか確かめずに、そのトーンを使うのは悪いと思った」


幸い、彼らのマネジャーがビッグ・ダディ・ケインと懇意で、そのケインがグランドマスター・カズやメリー・メル、クール・モー・ディーといったヒップホップのパイオニア的存在のラッパーたちをシアトルまで呼んで、『Downtown』のレコーディングに参加してもらった。


ルイスはそのセッションの間、プロデューサーとしての仕事を諦めるよりほかなかった。「彼らに1回だけ意見を言ったことがあるのだが」と、ルイスは振り返る。「クール・モー・ディーに『おまえはメリー・メルにラップの仕方を指導しようとでも思ってんのか?』って言われて」

セカンド・アルバムをリリースできるまでにはまだ数曲が残っている。「俺は数か月ごとにミックステープを作るようなタイプじゃない」とマックルモアは言う。「スタジオへ戻る前に自分を見つめなおし、自分が言いたいことを見つける必要があった。だから俺は生き続けなくてはならなかった」

Translation by Nao Nakamura

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