2015年注目すべき秀逸アルバム15選 

ラヴ・オブ・ダイアグラムス 『ブラスト』
Love of Diagrams/Blast
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このメルボルンのパワー・トリオは、彼らのフックをディストーション・サウンドにまぶしてから、ファズを使った曲作りをするスペシャリストだ。ヴォーカリスト兼ベーシストのアントニア・セルバッハはグループのリーダーで、ギタリストのルーク・ホートンがファンシーに飛翔するあいだ、彼女の痛烈なヴォーカルと逞しいベースラインが叩き出される。『レーシング』では、このバンドがものおじしない狂乱と、陰鬱な瞑想の間を行き来し、息をつくのに意識するのが必要な程の思いがけない結末へと達する。
− Maura Johnston

ピンク・フロイド 『1965:ゼア・ファースト・レコーディングス』
Pink Floyd/1965: Their First Recordings
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ピンク・フロイドのデビュー作『夜明けの口笛吹き』がレコード店の棚に並べられた67年の2年前、ギタリストのラド・クローズがまだ在籍していた頃、彼らはスタジオに入り、最初のレコーディングの基礎を固めていた。50年のあいだ、この資料は保管庫に留め置かれたが、欧州で制定された新しい法律、いわゆる「使わなければ駄目になる」法の施行によって、彼らは著作権の延長のためにこの資料をリリースせざるを得なくなった。そのため、ロック界において最も尊敬されるグループの1つによる歴史的なレコーディングは、1,000枚限定の14インチ盤としてこっそりリリースされた。シド・バレットのマニア達にとっては『ルーシー・リーヴ』や『リメンバー・ミー』などサイケデリックな楽曲の生まれたままの姿のバージョンが聴けるチャンスは垂涎の的だし、ロジャー・ウォーターズが書いた最も古い曲のひとつ『ウォーク・ウィズ・ミー・シドニー』も収録されている。まだ胎児のような時期の彼らを見るのは、心惹かれるものがある。この先何年かに、彼らがリリースせざるを得ないものにはどんなに素晴らしい物があるのか、誰も知らない。
− Andy Greene

PWR BTTM 『Ugly Cherries』
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「俺の女が怖がっている/ヤツをどこにも連れて行けない」と、バンドのデビューのタイトル曲でベン・ホプキンスが、「ワイルド・シング」とエコーしながら、マイタイを6杯煽った後、エディー・ヴァン・ヘイレンをイメージさせる細切れのリフにのせて公言する。
『アグリー・チェリーズ』は、きらびやかなドレスをまとったレント・パーティー向けのパンクだ。間抜けで、甘美で、不快で、杜撰で、爽快な曲の数々にのせて、さまざまな圧政(性別表現や、同性愛者への差別的攻撃、傷心、成人年齢)に対して刃向かっている。ホプキンスとリヴ・ブルースのこの勇ましいジェンダー廃止論は、元来のロック&ロールの燃料であった、とげとげしさ、自己実現への渇望、安定への拒否などを、皆に思い起こさせてくれるだろう。彼らが、グラム・ロックとドラッグの根本的な歴史を変えてくれるかもしれない。
− Will Hermes

Translation by Kise Imai

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