デヴィッド・ボウイの隠れた名曲20選

15 『いつも同じ車で
1976年、『ロー』のセッションを行っていた時期、ベルリンの地下ガレージで1950年代のメルセデスを運転していたボウイ。「ホテルのガレージをグルグル回っていたんだ」と綴っている。「94キロ近かった」言うまでもなく、車を衝突させて、あっけなく死んでしまっでもおかしくない出来事だ。彼はこの体験をメタファーとし、クレイジーなスピードで次から次へとプロジェクトを飛び移り、どれだけ自分のキャリアを危険にさらしているかを『いつも同じ車で』で表現した。この楽曲は『ロウ』中で異彩を放つ一曲だ。彼は90年代後半になってようやくライブで披露し、素晴らしいパフォーマンスで観客を魅了した。

14 『ヒーザン(ザ・レイズ)
アルバムのタイトルにもなっている『ヒーザン』は、ひどく陰鬱な雰囲気のアルバムを締めくくる、ひどく陰鬱な曲である。「死に瀕している自分を認識することだ」「命には限りがあることを感じ、年齢と共に生命力が失われつつある自分に対峙することだ」この曲を発表した当時、ボウイは55歳、すこぶる健康であった。だがその数年後にひどい心臓発作に襲われ、生きるために闘うことになる。

13 『円軌道の幅
『世界を売った男』の最初に収録されている『円軌道の幅』は、ボウイのスピリチュアルな探索、特に、1967年に仏教に傾倒した経験を基に制作された楽曲である。当時ボウイは『スペース・オディティ』だけの一発屋と見られていたので、アルバムのリリースはあまり注目されなかった。だが彼はこの曲にこだわり、『ジギ―・スターダスト』のツアーでは、毎回演奏時間を16分に引き延ばした。そしてミック・ロンソンがライブで最も長いソロ・パートを演奏している間にボウイは衣装を着替えたという。

Translation by Aki Urushihara

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