18位 Clutch『Psychic Warfare』


2013年にリリースされた不動のアルバム『Earth Rocker』の成功とその後も継続的にツアー巡業を行ったことで、このメリーランドのバンドは勢いを増し続ける力強いロックの王様としての地位をより強固なものにした。彼らが2015年にリリースしたアルバムでは、バンドのサイケデリックな傾向が暗く不毛な性質や政府の陰謀の塊、アメリカの魔術などの傾向へと変化している。『X-Ray Visions』や『Firebirds』、『Noble Savage』のようなスピード違反レベルの高速のアンセムは、『A Quick Death In Texas』や『Our Lady of Electric Light』などの踊り出したくなるような曲に引き立てられ、すべての曲に趣深い南部のブルースの要素が加わっている。その結果、聴き手にヒッピーやバイカー文化が精神異常的な調和で混ざり合った時代を思い出させるような、危険性が増しているがマリファナ乱用者に優しい名作が生まれた。by C.K.

17位 Deafheaven『New Bermuda』


2013年、エクスペリメンタル・ブラック・メタル・バンドのデフヘヴンは、粗野な爆音のビートとぼんやりとしたノイズが響くギター、ガラスがガタガタ鳴るような音のヴォーカルやエフェクトが多用されたシューゲイズ系のテクスチャーがまんべんなく使用されたアルバム『サンベイザー』で大成功を収めた。彼らはサード・アルバム『New Bermuda』で音響スペクトルを両極端まで広げて使用している。暗く絶望的で時に息苦しくなるような曲は、高速のチャグ音とスレイヤー風の回転するビート、初期のメタリカのような複雑なギターさばきによって引き締められている。それと同時に、デフヘヴンは長々とした楽曲にルナを連想させるギターのゆっくりとしたメロディやザ・キュアーやレッド・ハウス・ペインターズを彷彿させる憂うつな空想を組み込んだ。しかし、デフヘヴンがどんなに頻繁にもしくは唐突に曲調を切り替えても、どの楽節も次の節に滑らかにつながっていき、顎ヒゲを掻きながら考え込んだり、猛スピードでヘドバンしたりする行動のどちらも引き起こす映画のような威厳をアルバム『New Bermuda』に与えている。by J.W.

16位 Lamb of God『VII: Sturm Und Drang』


ヴォーカルのランディ・ブライズがプラハで過失致死容疑により逮捕され、5週間ほど拘留された2012年6月よりかなり前のラム・オブ・ゴッドは歯ぎしりするような音楽を作っていた。最終的に彼の容疑は晴れたが、この経験はバンドに決して消えることのない傷跡を残した。アルバム『VII: Sturm Und Drang』は獄中作品というわけではないが、カフカ風の苦境に陥り、たった一度の裁判のせいで5年間活動を中断せざるを得ないという状況下で、新しいレベルの創造性が開花した。ラム・オブ・ゴッドは連打されるドラムのビートと電ノコのような目まぐるしいギターリフによる体力を消耗するような集中砲火を浴びせるだけでなく、収録曲『Erase This』においてトーク・ボックスを容赦なく乱用する。ブライズは楽曲『Overlord』のために心のこもったクリーンなヴォーカルを吹き込み、『Embers』や『Torches』といった曲には、デフトーンズとディリンジャー・エスケイプ・プランのヴォーカルがゲストで参加している。by J.W.

Translation by Deluca

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