12位 Napalm Death(ナパーム・デス) 『エイペックス・プレデター、イージー・ミート』


ナパーム・デスの15枚目のフルアルバム『エイペックス・プレデター、イージー・ミート』は、アルバムのスリーブの「柔らかくした虚弱体質の人間の肉」をミンチにするためのあらゆる機械の音に似ている。リズムを機械的に激しく刻み、大きな塊を粉砕するために速度を落とし、終始ピチャピチャという音を立てて進んでいくのだ。しかし、彼らは極端な手段を極めた存在であり続ける一方で、グラインドコアの先駆者としての自分たちの地位を保つためにこのジャンルに新しいスタイルを投入し続けてきた。例えば、ブギウギ・パンク調の切分されたリフ(収録曲『タイムレス・フロギング』)や、初期のスワンズ風の儀式のようなリズミカルな辞世の歌(表題曲)、憂うつなドゥーム・メタル風の偉そうな曲(『デアー・スラム・ランドロード…』)、ドロドロしたミニマル・ミュージック(『アドヴァーサリアル/コピュレイティング・スネークス』)などのスタイルだ。これらのスタイルの融合は一級品であり、このメカニズムはとにかく最高だ。by K.G.

11位 Metz(メッツ) 『ツー』


トロント出身バンドのメッツは2012年のバンド名を冠したデビュー・アルバムにおいて、90年代初期のサブ・ポップ・レコードやタッチ&ゴー・レコードのわくわくさせるようなスタイルを、無秩序な無調音楽のいたずら心満載で復活させた。デビュー作での焼畑農業的なアプローチは新人バンドが業界の仲間入りを果たすには印象的な方法だったが、今回のアルバム『ツー』はかつてアンフェタミン・レプタイル・レコードが輩出したバンドたちの遺産を蘇らせるようなメッツのあり方を示している。このトリオは本アルバムの30分間で、パンクやメタル、エクスペリメンタル・ロックの暗く邪悪な深層部により深く入り込み、一度聴いたら忘れられないリズムに合わせて頭を振りたくなるような聴かせどころをいくつか創り出した。容赦のない発狂した叫び声はうなるようなコードに合わせて弾むように響き、残響や遅延、シューシューという雑音などの不快なアプローチで興奮状態が弱まる。by J.F.

10位 Killing Joke(キリング・ジョーク) 『Pylon』


キリング・ジョークはこのランキングにふさわしい存在だ。40年近くにわたり、因習打破主義者とダダイスト、人間主義者の各性質を等しく備えた英国人たちは、インダストリアル系の不毛で激しいリフやニューウェイブの冷淡なヴォーカル、実際は勇ましく聞こえるシンセのサウンドスケープを吹き込み、自分たちが楽しむ目的でメタルやパンクをねじ曲げて野蛮な感じに変化させた。彼らのサウンドは数十年来にわたる古いものだが、フー・ファイターズやフェイス・ノー・モア、タウ・クロス、ピンキッシュ・ブラックといった現代のバンドが多数活躍するなかでも際立っている。キリング・ジョークによる15枚目のフルアルバムはこのバンドの技能をつぎ込んだ優れた作品である。収録曲『Dawn of the Hive』での律動的なギターと対照的な憂うつで苦悩に満ちたヴォーカルや、『New Jerusalem』におけるすさまじい金属音と轟音による中東に関するスローガン、『I Am the Virus』での容赦ない大混乱へと駆り立てるインダストリアル系のディスコのビートといった技術が駆使されているのだ。このアルバムはベストな状態のキリング・ジョークが作った作品であり、多くのバンドがそうありたいと願う姿そのものである。by K.G.

Translation by Deluca

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