ニュー・オーダー、ダンスロックへの回帰に成功した内部事情

「今でもニュー・オーダーらしさがある」と、サムナーと同じ地域で暮らす57歳のジョーク好きなモリスは笑いながら話す。「俺たちはこのアルバムで、ニュー・オーダーであろうとはしていない。なぜそうすべきかだって?それはゼリーのように、とてもよく固まっているから」。

バンドが本格的にビジネスを再開する前、彼らはいくつか不愉快なことに対処しなければならなかった。サムナーとモリスとともにニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョンの結成メンバーであるピーター・フックとの最後のギグから数ヶ月経ち、このベーシストと仲違いした2007年半ば頃、バンドはフックの主張を強く非難しなければならなかった。「ニュー・オーダーは解散していない」と、サムナー、モリスの2人はその夏の共同声明で述べた。フックは彼らを訴えると脅すことで復讐した。

「実際に起こったことは、俺たちがニュー・オーダーから少し距離を置きたいと思い、ほんの少しの間休止しようというだけのことだ」とサムナーは述べる。「だから俺はバッド・ルーテナントのアルバムを作ったんだ。ジリアンは乳がんを患っていたから、(ジリアンとは1994年に結婚)スティーヴは彼女の様子を見守る必要があった。だから彼は看病をしながら、妻と子供たちとともに過ごした。うれしいことに彼女は病気を乗り越え、完全に回復した。だからバッド・ルーテナントに区切りがついた時、俺たちは『次は何をしようか』という話になり、『俺はバッド・ルーテナントでアルバムを1枚作ることができたから、俺たちニュー・オーダーでも、もう一度できるだろう』ってことになった。それからマイケルのためのチャリティ・ギグ出演依頼を受けたんだ」。

「俺たちがジリアンにギグ出演が可能かどうか聞いて、彼女がOKしてくれた時だった」とモリスは述べる。「マイケルは俺たちにとって大事な友達だった。残念ながら昨年亡くなってしまったが、彼のため、友達のために何かしようというアイデアが俺たちを集結させた」。

その間、サムナーは複数の弁護士に相談し、ニュー・オーダーがフックなしで再始動できることが保証された。フックは後に、ジョイ・ディヴィジョンやニュー・オーダーの楽曲を演奏するバンド、ピーター・フック・アンド・ザ・ライトを結成し、ジョイ・ディヴィジョン時代やニュー・オーダーと共同所有するナイトクラブ、ハシエンダについて語る本を執筆した。今年4月の時点で、ベーシストは過去のバンド仲間に対し、ニュー・オーダーの名義と商標使用について訴える法的手段の準備を進めていることを明かしていたが、フックの代理人は、本記事の公開時点でコメントの要請に応じなかった。

Translation by Shizuka De Luca

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