ニュー・オーダー、ダンスロックへの回帰に成功した内部事情

『ミュージック・コンプリート』の最も魅力的な側面のひとつが、アルバムに登場するゲスト・アーティストだ。これらのコラボはすべて有機的に生じたことであり、「ストレイ・ドッグ」に深い詩の朗読で貢献するイギー・ポップの場合は、バンドにとって完全に一回りした瞬間だった。イギーはジョイ・ディヴィジョンの初期の時代、特にサムナーとバンドのヴォーカルで今は亡きイアン・カーティスとの関係を結びつけた存在であることが判明した。

「俺たちはマンチェスターのヴァージン・レコードにパンク・バンドのヴォーカル募集の告知を出したんだ」とサムナーは振り返る。「俺たちはまだ名前もなかったが、パンク・バンドを結成していた。実際パンク・バンドではなかったけど、とにかくバンドだった。当時まだ母親と暮らしていたし、彼女は電話を持っていたから、連絡先にしていた母の自宅に変なヤツらからの電話がたくさん来た。俺は電話をしてきたこの変人たち全員と話をして、オーディションをしたけどメチャクチャだった。3週間続けた頃には頭がおかしくなりそうだったよ。それからイアンが電話をかけてきたが、パンクのギグやコンサートで彼を見たことがあっただけだけど彼の声を覚えていた。そして俺は『君はイアンだろ?あのイアン・カーティスだろ?』とたずねた。彼は『うん、それは俺だよ』と言った。俺は『君にこの仕事をしてもらう』と言って、彼のオーディションはしなかった。彼には俺たちがしてきたことを何も話さないで、ただ彼にヴォーカルの座を渡した。ただそうするのが正しいと思ったんだ。ギグで彼のことは知っていたし、彼が俺たちと同じように良い音楽を好きなのもわかっていたから」。

「リハーサルのことを話すためだけに俺は彼の家に立ち寄った」とサムナーは話を続ける。「あれはイギーが、デヴィッド・ボウイのプロデュースしたアルバム『イディオット』を発売した週だった。イアンが『これを聴いて、これを聴いて。発売されたばかりなんだ』と言って、『イディオット』を聴かせてくれた。それは本当に最高だった。俺は圧倒されたよ。だからイアンはイギーを紹介してくれた存在かな」。

「『イディオット』が発売されてすぐにイギーのライヴを見に行った」とモリスは話す。「あれはマンチェスターでのことで、かなり不思議だった。俺はギグにいて、バーナードもいて、フッキーも、イアンもギグに来ていた。基本的に今、知っている全員は皆があのギグにいたけど、誰もお互いのことを知らなかった。本当に不思議だよね。でもよくあることなんだ。『アポロでのイギーを覚えている?』、『マジ?俺も行ったよ』、『セックス・ピストルズの時のことがもう一度起こったみたいだな』って。(サムナーとフックはセックス・ピストルズのコンサートを見た後にジョイ・ディヴィジョンを結成した)」。

Translation by Shizuka De Luca

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