ポール・サイモン、隠れた名曲ベスト10

Photo: (Michael Ochs Archives/Getty)

1965年の『ポール・サイモン・ソングブック』から50年、『オヴィアス・チャイルド』、『ハーツ・アンド・ボーンズ』、『アメリカの歌』を抜いてトップを飾った名曲とは?

2015年9月上旬、ポール・サイモンは『ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』に出演し、皆に愛されている名曲、『僕とフリオと校庭で』を歌った。サイモンのソロは、クラシック・ロック・ラジオでおなじみの曲よりはるかに素晴らしい。50年以上前、『ポール・サイモン・ソングブック』をイギリスでリリースして以来、サイモンはソロアルバムを発表し続けている。2011年の『ソー・ビューティフル・オア・ソー・ホワット』は、より多くの人々に聴いてほしい実に素晴らしいアルバムだ。今回の読者投票では、ポール・サイモンの隠れた名曲を募った。結果は以下の通りだ。

第10位 『ハーツ・アンド・ボーンズ』
ポール・サイモンは、当初1983年のアルバム『ハーツ・アンド・ボーンズ』をアート・ガーファンクルとの再結成プロジェクトとして計画していた。しかし、サイモンのキャリー・フィッシャーとの結婚が破綻した時、準備していた新曲は非常に個人的なものとなり、誰かと歌うことは考えられなくなっていた。ガーファンクルはこのことを今でも根に持っているが、アルバムのタイトル曲を聴けばサイモンの判断が間違っていなかったことがわかる。歌詞に登場するメキシコを旅している「ユダヤ人とユダヤ人のハーフ」は明らかにサイモンとフィッシャーだ。「なぜそのままの僕を愛してくれない?」と歌う声からは、サイモンの苦悩が聞いてとれる。(余談だが、フィッシャーが『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』で有名なメタルビキニを着たのはこの年だ)
この曲は1986年リリースの『グレイスランド』のB面に収録され、シングル化はされていない。リリース当初はライブで演奏されることはほとんどなかったが、2011年以降はサイモンのコンサートで頻繁に演奏されている。

第9位 『ファーザー・アンド・ドーター』
ポール・サイモンは、『ファーザー・アンド・ドーター』を2002年の子供向け映画、『ワイルド・ソーンベリーズ・ムービー』のために制作し、オスカーにノミネートされた。結果的に賞を受賞したのはエミネムの『ルーズ・ユアセルフ』  だったが、『ファーザー・アンド・ドーター』はとても感動的な曲で、この4年後にブライアン・イーノと制作したアルバム、『サプライズ』の最後に収録された。このアルバムには賛否両論あるが、2013年、サイモンはローリングストーン誌にアルバムの制作過程は苦痛だったと語っている。
「アルバムの制作方法が気に入らなかった。僕はドラマーと一緒にスタジオ入りし、ギターのパートを作り、イギリスに飛んでブライアン(イーノ)に聴いてもらった。そしてブライアンは自分が担当する作業をし、僕はアメリカに戻ってエンジニアとスタジオに入った。とても寂しいプロセスだった。すごく距離があった」

Translation by Satoko Cho

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