ブランク・レンジ:注目のナッシュビル発革新バンド

なぜ今、彼らの音楽か:
かつてマンドリンがよく使われていたように、シンセサイザーが当たり前のようにロックアルバムに使われている昨今、ブランク・レンジは歪みエフェクターやファズといった音響機器を使い、独創的な即興性を生かし、自分たちの音を作り出している。つまり、今はやりのやり方ではない。2013年発売のミニ・アルバム『Phase II』には突出したヴィンテージ感があるわけではないが(古いものが好まれている町ではヴィンテージ感のある音楽は珍しくない)かといって鼻につくような未来的な響きがあるわけでもない。

つまり、シアトル系グランジやポスト・ニューウェーヴ、ザ・ストロークスに影響を受けたニューヨーク系のバンドが自然に進化したようなスタイルだ。オーケストラを過剰に取り入れたり、わざとらしく奇抜にしたり、先祖返りしたようなブルースの要素を入れるようなことはしていない。「Last Crash Landing」や「Same Sun」といった曲では70年代のピアノとガチャガチャと音を立てるギターのリフ効果が目まぐるしく混合し、チルダーズとグスタフソンのツインヴォーカルからは予測できない詞が紡ぎ出される。接頭辞や修飾語句など必要ない、独創的なロックンロールだ。

活動を継続してこられたのは、しっかりした労働倫理があったからだ。新しいアルバムを作りながら地元でアルバイトもしている。「バンドとして曲作りにますます力を入れるようになってきた」と発売間近のデビューアルバムについてチルダーズは語った。「過去に出したアルバムは曲を書いてすぐにレコーディングしていた。でも今年の夏は新曲を持ってツアーに出るという素晴らしい機会を得た。ヴォーカルのハーモニーや曲の編成をもう少しよく考えることができた。」また、前座を務めたライブではミュージシャンからたくさんのアドバイスを得たと言う。「自分自身と自分の音楽を信じなさいっていうアドバイスがほとんどだったよ」

お気に入りのナッシュビルのライブ会場:
「『ベースメント』は僕らにとって大切な、大好きな場所だ。スタッフやオーナーだけじゃなくて音響も素晴らしい。しかもライブに出るだけでも大変だった初期の頃、素晴らしいチャンスをくれた。(オーナーは)本当に面倒見が良くて、たくさんの地元バンドが世話になってるよ。ライブに出してくれて、チャンスを与えてくれている」とチルダーズは語る。

『ベースメント』(またはボナルー・フェスティバル)に出る前、バンドはナッシュビルのハウス・ライブ(家を会場にしたライブ)でも演奏した。「初期の頃、ライブ会場で演奏できるようになる前はハウス・ライブによく出ていた。ナッシュビルにはいい感じのハウス・ライブシーンがあって、素晴らしい経験だった。」こう語るのはグスタフソンだ。彼らは他にも『フォンド・オブジェクト』というレコード店の名を挙げ、インストアライブを盛り上げ、イベントを身近なものにしてくれたと語る。

Translation by Satoko Cho

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