ボビー・コールドウェル、20歳下のジャック・スプラッシュによる奇跡のユニット『クール・アンクル 』結成秘話

ソウル界の生ける伝説ボビー・コールドウェルと、モダンR&B界の最重要人物ジャック・スプラッシュによるユニット、クール・アンクル (Photo: Supajoe)

ボビー・コールドウェルとジャック・スプラッシュによる、世代とジャンルを超えたユニットが奏でるシルクのようなモダン・ソウル

近年、ベテランと若手アーティストによる世代を超えたコラボレーションがますます盛んになりつつある。ベティ・ラヴェットとザ・ドライブ・バイ・トラッカーズ、メイヴィス・ステイプルズとジェフ・トゥイーディ、メアリー・J・ブライジとディスクロージャー、そしてドゥービー・ブラザーズと往年のカントリーシンガーたちなど、数えればきりがないほどだ。インターネット世代のミュージシャンたちが多様な音楽に触れていくなかで、ベテランと呼ばれる偉大なアーティストたちにインスパイアされるのは、ごく自然なことなのかもしれない。

ヴォーカリスト兼ソングライターのボビー・コールドウェルと、プロデューサーのジャック・スプラッシュによるユニット、クール・アンクルもそのひとつだ。1978年のデビュー以来、コールドウェルが歌う甘美なソウルは多くの人々を魅了してきた。中でも初期の作品のプロダクションは見事の一言に尽きる。パワフルなドラム、グルーヴィーなベース、そして胸を打つハーモニー。大人向けの音楽には似つかわしくないひねくれたアレンジが、楽曲をより味わい深いものにしている。1979年発表の『マイ・フレイム』で聴くことができる、まるで遥か彼方から鳴り響いてくるような不思議なコーラスはそのいい例だ。1980年代にヒットした『イッツ・オーヴァー』では、思うがままにスケールをなぞっていくコールドウェルと、彼を支える強力なバックバンドによる見事な掛け合いを耳にすることができる。

デビューから35年が経った今もなお、コールドウェルの制作意欲はとどまるところを知らない。繰り返されるマイナーチェンジは、あくまで自身のトレードマークであるヴェルヴェット・ソウルに磨きをかけるための手段にすぎない。2005年作『パーフェクト・アイランド・ナイツ』に収録された楽曲の数々は、デビューアルバムの収録曲にも決して見劣りしない。普遍的な魅力を備えた彼の楽曲は、これまでにロバータ・フラック、ロイ・エアーズ、ナタリー・コール、ニール・ダイアモンド、ボズ・スキャッグス、シカゴ、そしてアル・ジャロウなど、数多くのアーティストによってカヴァーされている。

Translation by Masaaki Yoshida

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