アルカが語る、ビョークとのコラボ、性の葛藤、衝撃的なニューアルバム

―あなたのコラボレーターであるジェシー・カンダによるアルバムのアートワークや、奇妙なキャラクターが登場するミュージックビデオなどは、あなたの作品の重要な一部となっています。『ミュータント』のヴィジュアル面においても、自身の変化が反映されているのでしょうか?

『ゼン』のアートワークに登場するキャラクターには頭部がない。でも『ミュータント』のキャラクターは、まるでレーザーのような鋭い眼光を放っている。それはこのレコードのコンセプトであるアイコンタクトや直接性、そして脆弱さといったものの象徴なんだ。自身の脆い部分を曝け出すだけじゃなく、自分の弱さをエネルギーへと昇華させるということだ。アルバムを作る過程で、僕の中にあった脆さは勇気へと変身したんだ。『ミュータント』で低音がより強調されているのはその表れでもある。自身の内なる冒険でもあった『ゼン』は外界から切り離された作品だった。でも『ミュータント』は、自分と現実の世界を結びつけるような引力を持った作品なんだ。

―『ゼン』と『ミュータント』に共通している点は、各曲が非常に短いということだと思います。

気づいてくれて嬉しいよ。多くの人はあまり気にしていないようだけど、それは僕がとても重要視している部分だからね。まず第一に、僕は数回聞いただけで満足してしまうような曲よりも、何度も繰り返し聴きたくなるものを作りたいと思ってる。僕は好きな音楽は何度も聞き込むんだ、細かいディティールが意識に刷り込まれるくらいまでね。人は自分の限界を超えて何かに集中し続けることで、自分の中の何かを新たに目覚めさせることができるんだよ。だからこそ、僕はものすごく時間をかけて、曲の細部にまでものすごくこだわる。オーガニックなものというのは、そうすることでしか生まれないからね。僕の曲では同じフレーズが何度も繰り返されることは決してないんだ。同じループが延々と流れ続けるような音楽に、僕は驚きや快感を感じないんだよ。

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「同じループが延々と流れ続けるような音楽に、僕は驚きや快感を感じないんだ」ー アルカ

Translation by Masaaki Yoshida

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