ローリングストーンズの必聴ブート盤5選

そして『サティスファクション』がある。1969年のツアーにさかのぼると、このナンバーはステージ上で音楽の形に化けた蛇のようだった。攻撃し、這うように進み、そしてあなたを捉えるのである。ここには意外なことにスリム・ハーポのグルーヴがある。チャーリー・ワッツのバックビートから、ビル・ワイマンのベースの素早い音、連携した二つのギター、管楽器のようなジャガーの声まで、すべての部分に潜むレアなブルースのシャッフルが正確に表現されている。ジャガーの声は1965年に発表されたオリジナルシングルの管楽器のようなリフを歌い上げている。最後のチャック・ベリーの『レット・イット・ロック』まで行こう。大きな賭けをするときだ。そして自分に対する命令は、基本的に他の誰にも不可能なほど、自分を強く揺り動かす。リーズにいた人々はこれを巨大な力と呼ぶ。これらがあなたの聞くべきストーンズの曲である。

そのため、ここではこのバンドの輝かしい歴史—初期から『メインストリートのならず者』まで—の中からブート盤のライブを元に、『Get Your Leeds Lungs Out』には入っていない5曲をあげている。

『Live! On the BBC』(1963 - 1965)

ビートルズはBBCラジオでオンエアされたレコーディングの多くをパブで行ったが1960年代初期、ローリングストーンズはアンティービーブことBBCのためにいい環境でレコーディングを行った。残っている音源の数はビートルズの足元にも及ばない。だから選り好みする必要はまったくない。アーサー・アレクサンダーの『ユー・ ベター・ムーヴ・オン』のカバー—これはアーサーにとってもストーンズにとっても、楽曲の中で最もなめらかで泥のようなリズム&ブルースである—から犬のフンを踏んだときのような動揺をもたらす『ハイ・ヒール・スニーカーズ』、きちんと演奏されたという自信が伺える『ラスト・タイム』まですべてが収録されている。

『In Action』(1966)

1966年はロックにおけるライブの歴史にとって奇妙な年だった。ディランは最高のツアーをし、ビートルズはツアーをやめると宣言した。そしてヤードバーズは彼らに不似合いな、ティーンネイジャーの女の子が好みそうなパッケージツアーをし、クリームとジミ・ヘンドリックスは彼らの道を行った。そう、そしてストーンズは6月にハワイを徹底的に揺り動かした。1966年のストーンズの音は彼らが自分たちのキャリアを特徴づけた他のいかなる音とも違う。すべてが金属的かつ合理的であり、一種未来的なブルースのようだ。彼らがライブで『黒くぬれ!』を演奏しているところを想像するのは難しいが、ホノルルで演奏したものをこのブート盤で聞くことができる。そして『マザーズ・リトル・ヘルパー』や 『19回目の神経衰弱』ではこの世のものとは思えないちょっとした音の爆発も聞くことができる。このライブのもの以上にレアなセットリストはない。

Translation by Yoko Nagasaka

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