相次ぐスターの訃報、クラシック・ロック時代の終わりを考える

近年相次ぐ訃報が特につらいのは、こうしたミュージシャンの中には晩年に生き生きと活動を活発化している人がいるからだ。かつては、この世代のロッカーが定年退職の年齢をすぎても音楽を作り続けているとは、想像もできないことだった。80年代の彼らの苦境、MTV時代に乗り遅れまいと苦闘していた様子をみれば、彼らがいまだに現役であるなどということは考えられないことだ。

しかしこの10年ほど、彼らの死がつらいのと同じくらい、彼らの復活劇は実り多いものだった。ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ボニー・レイット(今66歳だ)、最新のソロ・アルバムでのキース・リチャーズは、まるで渋いブルースマンのように、今でも必聴すべきアルバムを制作し、生き生きとしたライヴを行う能力がある。なんと81歳になるレナード・コーエンには今、キャリア2度目(あるいは3度目)の順風が吹いている。思いがけなく発表されたボウイのラスト2枚のアルバム、元気いっぱいで誇り高い『ザ・ネクスト・デイ』と、本当に幽霊が出そうな『★』は、予想を覆す晩年の緊急復活劇だった。いずれのケースでも、ミュージシャンたちは年齢と、枯れ具合と、蓄積した知恵を表現にうまく取り込んでいる。彼らはロックンロールを、考えてもみなかったような地点にまで連れて行っている。

こうした創造性の爆発は、アメリカ疾病予防管理センター内に設置された全米保健医療統計センターが出版した2014年の報告書でも裏付けられている。報告書によると、アメリカ人の寿命はこれまでになく長くなっており、平均寿命は78歳(女性81歳、男性76歳)となっている。とはいえ、特定の世代のミュージシャンたちが重い足を引きずってツアーに出て、いろいろな時代のいろいろな曲に手を出す時間が追加されたとはいえ、やはりある時代の音楽と、それを作った人たちの終わりが近づいているようには感じられる。この世代も70歳台に突入している。僕らはこの先、ますます多くの彼らにお別れを言う厳粛な数年間をすごすことになるだろう。

Translation by Kuniaki Takahashi

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