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アメリカ大統領選、矛盾だらけの予備選方式

MICHAEL MAIELLO | 2016/03/07 13:30

| 順位付け投票にすれば、現状の予備選挙よりもシンプルで包摂性も高まる (Photo: Paul Sancya/AP) |



Photo by Ron Jenkins/Getty Images

さらに二大政党の党員も、このおかしな仕組みによって投票権を奪われることになりうる。まず民主党側では、大統領候補は、全国党大会に参加する代議員──原則として予備選挙の結果に従って投票する──によって選ばれる。その代議員の総数は4051人である。ところが、それ以外に党内の有力者など、党大会で自由に投票できる「特別代議員」が713人いる。クック・ポリティカル・リポートの推計によると、予備選挙が始まる前の時点でヒラリー・クリントンはすでに特別代議員の半数の支持を積み上げ、代議員獲得数でバーニー・サンダースに8%幅の差をつけていた。この特別代議員の存在により、クリントンはニューハンプシャー州の予備選挙で得票率ではサンダースを22ポイント下回りながらも、代議員獲得数は同等だったとみられる(ただし重要な点として、特別代議員はどの時点でも支持候補を変えることができるため、サンダースの健闘が続けば特別代議員の少なくとも一部が鞍替えすることになると予想される)。

次に共和党側では、一部の州に投票結果を覆すような奇妙な規定がある。たとえばジョージア州では、得票率が20%を超えないと代議員は獲得できないことになっている。ジョージア州で予備選挙が行われる3月1日にまだ多数の立候補者が残っていれば、多数の票が死に票になる可能性がある。これに対しオハイオ州、アリゾナ州、フロリダ州は勝者総取り方式であり、フロリダが地元のジェブ・ブッシュには巻き返しのチャンスにはなっても、すべての有権者の意思が反映されることにはならない。

それでは、共和党の全国大会で代議員の票の過半数を獲得する候補者がいないという結果になったら? その場合には、代議員たちが何をしようと、党内の有力者たちが大統領候補を決めることになる。

20世紀の政党の腐敗に対する解決策は、予備選挙を一般選挙に似たものに変えることだった。時の経過とともに一般市民は、予備選挙と一般投票は不可分であり、大統領にふさわしい候補者は民主党と共和党の候補、それに変わり者の億万長者だけだという考え方に引き込まれてしまった。

しかし、そうでなければならないのではない。順位付け投票のような方式に変えれば、公費の支出も二大政党の関与もすべて取り払うことができる。たとえば、全候補者名が書かれた投票用紙に、望ましい順に1〜5の数字を付けるというやり方がある。「トランプが一番でクルーズが二番だ」と思っているときに、なぜトランプかクルーズのどちらかを選ばなければならないのか。順位付けは正直でシンプル、そして効果的だ。

現にマサチューセッツ工科大学(MIT)とメンフィス大学が2012年の大統領選の一般投票でこの方式を実験的に試行し、結果としてはバラク・オバマとミット・ロムニーの得票差に大きな変わりはなかったものの、有権者の選好がよりよく反映されたことを確認している。

順位付け投票はシンプルで、包摂性も高い。私たちが今、目の当たりにしている無意味なやり方よりも理にかなっている。

Translation by Kayoko Uchiyama / Edit by Mamoru Nagai

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