デッドファンのアーティストが選ぶ、グレイトフル・デッドの名曲

PATRICK DOYLE, ANDY GREENE, SIMON VOZICK-LEVINSON | 2016/03/13 14:00

| Photo: (Michael Ochs Archives/Getty) |


ライアン・アダムス:『ウォーフ・ラット』(1971)
Ryan Adams
Photo: Tim Mosenfielder/Getty Images

16歳の時、2、3人の仲間とノース・カロライナの畑の真中に寝そべっていた。当時俺はもう家を出ていて放浪者みたいなものだった。LSDかマッシュルームかは覚えてないけど、とにかく何かでハイになっていた時、『ウォーフ・ラット』がカー・ステレオから流れてきて、俺の心に突き刺さった。そして突如ひらめいた。当時は80年代後半か90年代前半で、ミージェネレーション(自己中心世代)もしくはアイン・ランドの時代で、人が人を「浮浪者」呼ばわりする時代だった。そこにグレイトフル・デッドが立ち現れ、波止場のそばで路上生活をする、ある人物の歌を歌う。その人は、注目に値する、尊敬されるべき神秘的な魔術師みたいな男なんだ。

グレイトフル・デッドは、そういう不思議な光景を描いていた。音楽の中に実在する場所を作っているようだった。波止場の周りにはじっとりとした湿度を感じたし、ギターはタグボートのうなる音のように聞こえた。『ロード・オブ・ザ・リング』か『ハリー・ポッター』の世界に入っていくような感覚だ。『ウォーフ・ラット』は、サンフランシスコをどこかとても美しく、別世界のような場所のように思わせてくれた。誰もができることじゃない。グレイトフル・デッドのハンターやガルシア、ウェアがピーク時に作っていた曲はディランの初期より強烈だったと思う。空想の中で訪れるサンフランシスコは夢心地の世界という感じだ。グレイトフル・デッドの全ての曲に、魔法というよりは魔術的なものが散りばめられている。


Translation by Satoko Cho

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