ボブ・ディラン、1970年代以降の名曲ベスト10

第8位:『ミシシッピー(Mississippi)


ボブ・ディランは、一度アルバムからカットした曲を、次にスタジオ入りする時に見返すことはほとんどない。また、他のアーティストにその曲を既に提供している場合は、なおさら見返すことはない。しかし、シェリル・クロウに提供した『タイム・アウト・オブ・マインド』のアウトテイク、『ミシシッピー』については違っていた。この曲は、ディランの頭のどこかに張り付いて離れなかったようだ。2001年のセルフ・プロデュース・アルバム、『ラヴ・アンド・セフト』で、ディランは再びこの曲に挑戦し、ようやく発表に堪えるアレンジが完成した。アルバムの中では恐らく最も強力な曲だ。これより前の『テル・テイル・サインズ』に収録された3つのバージョンも、十分聴く価値がある。



第7位:『ジョーカーマン(Jokerman)』


1983年のアルバム『インフィデル』の一曲目は、「吹き荒れるハリケーンの中、両手に蛇をつかんで生まれてきた」という異様な人物を歌った6分間の名曲だ。このアルバムで、ディランのゴスペル期からの脱却は始まっているが、聖書からの引用は各バースに散りばめられている。ディランは、この曲を何度もライヴで演奏しているが、決定版は1984年のデイヴィッド・レターマンのトーク番組でのパフォーマンスだ。ザ・プラグスという謎のニュー・ウェーブ・バンドをバックに、ディランは唸るように歌った。曲の中の悪魔的な何かにとりつかれているようだった。ディランがこのバンドをツアーに同行させていたら、どんなに素晴らしいステージになっていただろうか。しかし、ディランとザ・プラグスの共演は、レターマンの番組が最初で最後だった。

Translation by Satoko Cho

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