プリンスのワイルド伝説12選

ベッドルーム一室が蝶々の聖域になっている。(1985年)


Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images

プリンスの奇行は、他の多くのポップスターがそうであるように、名声と富を獲得するにつれて悪化した。プリンスの奇行はというと、ちょっとした不思議な行動であったり、全くの超世俗的なものであったりした。85年にミネアポリスをツアーでまわっていたプリンスに、ローリングストーン誌がインタヴューを行った際には、10代の頃から泣いたことがないといった、ちょっとしたエピソードを聞くことができた。しかしそのインタヴューで最も注目をさらった瞬間は、ゲストルームの一室が蝶々の聖域になってることが明らかになった時だった。なんと部屋の中央に、笑みを浮かべた黄色のガーデン・ノームが置かれていたのだ。それも同記事によると、ノームは「蝶々の群れ」で覆われいて、そのうちの一匹は、「ノームの胸元のハート形の穴から飛び出していた」という。それなのにプリンスは平然と、その魔法のような光景を一笑に付すかのように、「仲間がくれたから、リビングに置いてたんだ。だけど怖いって言う人がいるから、そこに移動させてみた」と話している。


お尻丸見え衣装でVMA授賞式パフォーマンス(1991年9月15日)



90年代に入った頃には、プリンスがステージ上でセミヌードを披露するのは、定番の光景となった。というのも、プリンスは80年代を上半身裸で過ごしたも同然だったからだ。しかし、91年のMTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)では、それ以上のことをやってみせた。穴あきの黄色のジャンプスーツという衣装で登場したプリンスは、アルバム『ダイアモンド・アンド・パールズ』からのヒット曲『ゲット・オフ』の7分バージョンをパフォーマンスした。そして途中で一回転し、お尻の部分がくり抜かれた衣装から、お尻をお披露目してみせたのだ。この瞬間、プリンスは「ベイビー、見せてあげるよ。俺はセンスある男なんだ」と歌っている。それから5年後の英NME誌のインタヴューで、「セクシーであるには自由でなきゃいけないって気付いたんだ。セクシーであるってことは、説明できないくらいかなり自由なことなんだ」と話していることからも、プリンスがテレビの前でお尻を振って見せたことを理解できるのではないだろうか。結局のところ、『戦慄の貴公子』で「人は俺を下品と言う/全員がヌードだったら良いのに」と歌った男なのだから。

Translation by Miori Aien

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