THE NOVEMBERSに学ぶ、シーンを形成するバンド処世術

By Ryutaro Akima
THE NOVEMBERS のメンバー: 左から、 Ryosukue Yoshiki (ドラム)、 Yusuke Kobayashi (Vocal & Guitar)、 Kengo Matsumoto (ギター)、 Hirofumi Takamatsu (ベース)

─改めて、独立した理由を教えて下さい。

自分たちにはまだまだ色々な可能性があるだろうから、その可能性に自分たちのやり方でチャレンジできる環境に身を置きたい、ということですね。実際に独立してみると、責任や手柄の所在がより明確になりました。よく、何か良くないことが起こると人のせいにして、何かが成功すると自分のおかげだと思ってしまいがちですけど、それは逆だったなと。良いことがあったらそれは人のおかげだし、反対に悪いことが起きたら自分たちのせいだと感じるようになりましたね。それから、昔は客席に一人や二人、むしろ誰もいなくても良いライブをしてやると思っていたんですけど、そんなことないよなと。カッコ良い曲を作るのは独りでもできるけど、なぜそれをわざわざステージに立って演奏したいかと言えば、人に観せたいから。最近は、そういう気持ちに素直になれるようになってきました。

─表現者としての自覚が一歩進んだわけですね。加えて、独立後の活動でおもしろいと感じる点がいくつかあるのですが、まず作品で言えば配信シングルの「僕らはなんだったんだろう (Parallel Ver)」。本作は通常購入に加え、特設サイトで自分だけのジャケットをデザインでき、それをTwitterでシェアするとmp3音源をフリーダウンロードできるという施策がありました。逆に最新EP『Elegance』は、ジャケットが体温変化仕様になっており、人肌で温めるとデザインが変わります。配信とCD、それぞれの良さを生かしていますね。

僕たちの場合は予算に関わらず作りたいものを作ることができます。本当は採算を考えなければいけないですけど、作品の売り上げだけでなく、物販なども含めた活動全体でバランスを取れるというのは大きいでしょうね。ただそういった試みは、表現したいことに寄り添っているということが前提です。

─物販は、販促用ポスターにまで品番を付けているのがユニークです。それはジョイ・ディヴィジョンやハッピー・マンデーズなどが在籍したファクトリー・レコードの影響かなと。

ファクトリーについて言及してくれたのは今回で3人目くらいですよ(笑)。影響というより、素直に憧れですね。カッコ良いなと思って。

─ファクトリー・レコードが隆盛を誇った80年代とは違い、現在はバンドにとって厳しい時代なのではと思うのですが、活動する難しさを感じることは?

CDの売れ行きを気にするのはレコード・レーベルじゃないですか。でもCDを売ることと音楽を売ることは別の話だと思うんです。コンサートで曲を聴かせるのも音楽を売ることだと思うし、それは僕たちにとってバンドを売ることと同義です。何より自分たちの音楽を聴いてもらうことが大事なわけですから。

─その通りですね。自分たちでシーンを作るんだという意気込みはあったりしますか?

シーンを作るという言葉で考えたことはないですけど、自分たちがカッコ良いと思うことを、同じように思ってくれる人が増えたらいいなと。そしてそういう態度を示せたらなと思っています。シーンを作ることが目的ではないけど、のちにそう呼ばれるものがあるとすれば、その根幹にあるものは意識していますね。今足りないなと思うのは、ダサいヤツは入ってくるなという選民意識だと思うんです。それって良くないことと取られがちですけど、何がダサくて何がカッコ良いか、それは人それぞれじゃないですか。あいつは俺のことをダサいと言うけど、自分はこれがカッコ良いと思う、それは正解なんです。でもダサいと言われたらそのまま鵜呑みにしていまうのは違うのかなと。僕は他人のパジャマにお金を払う気はないというか。カート・コバーンがパジャマを着ていたのは、ある種のユーモアであったり、あれが本人の中でカッコ良いことだったりしたわけじゃないですか。つまり、誰にでもTHE NOVEMBERSに興味を持って欲しいわけではないけど、あなたには持って欲しいという感覚ですね。

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