ミュージシャンたちの歴史に残る残念なPR戦略・10選

ヴァニラ・アイスを不朽にしたマドンナの写真集『Sex』(1992)

(REX)

事もあろうにマドンナの名前が入った『Sex』というタイトルの本が、なぜ上手くいかなかったのだろうか?92年に彼女のコーヒーテーブル・ブックが発売されると、すぐにベストセラーとなったが、この過激なプロジェクトは、単なるプロモーションの一環に過ぎないと考えたファンや批評家の反感を招いてしまう。そして、同年にリリースされたセックス主体のコンセプト・アルバム『エロティカ』は、商業的に失敗に終わった。『Sex』は何よりも、彼女の恋人役としてヴァニラ・アイスをキャスティングしたことで、悪評高い写真集となった。


KLF、100万ポンドを焼却(1994)


一体どんなスーパースターがこれといった理由もなしに、100万ポンドを燃やすことができるのか?どうやら、KLFがその答えらしい。ビル・ドラモンドとジミー・コーティからなる扇動的なテクノ・デュオは、94年にパフォーマンス・アートの一環として現金100万ポンドを燃やした。当時2人はイギリスで成功を収めたばかりだった。アートという点から見れば、このパフォーマンスは成功と言えるのかもしれないが、ほとんどの人々は、彼らの行為に困惑し、バンドを非難した。この時すでにKLFは(羊の死体に貼りつけた手紙を通して)引退を表明していた。数年後、ドラモンドは自分たちの行為を後悔していると述べた。当初、燃やされた100万ポンドは、売れずに苦しむアーティストに手を差し伸べるため、慈善基金となる予定だった。ドラモンドがこう断言するまでは。「苦悶するアーティストは本来、もがき苦しむべきなんだよ。それが肝心だ」

Translation by Aki Urushihara

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