志茂田景樹という生き方:「一貫して僕は僕。普通じゃないと言うのが偏見」

By Joe Yokomizo 2016/08月号 P102〜105 |
ローリングストーン日本版8月号/連載 煙たい男たち/志茂田景樹 Photographs by Maciej Kucia(AVGVST)
連載 煙たい男たち|Case28 志茂田景樹

一貫して僕は僕なんで、それを普通じゃないと言うのが偏見なんですよ

独特のファッションで現れた志茂田景樹は、麻布十番にある事務所から飯倉の交差点近くの撮影場所まで歩いてきたらしい。むしろそれぐらいの距離を歩くのは朝飯前で、時間がある時は事務所から自宅のある武蔵境まで約20キロを歩くこともあるのだという。

現在76歳だが、健康だし、煙草も酒もやめていない。撮影が始まると美味しそうに煙草を吸う。聞けば、高2の頃から吸っているらしい。「煙草を吸ってから背が伸びだして、大学3年生まで伸び続けて179cmになったんです。大学の時、井の頭公園で中学3の時にクラスで一番背が高かった171cmのヤツに声をかけられたんですけど、自分より低いところにいるから誰だかわからなかったことがありましたね」と、ユーモラスなエピソードを教えてくれた。煙草を始めた当時、志茂田が通っていた都立国立高校は旧制中学の名門で、厳しい学校だった。それでも人気のない体育館や近所の桑畑で一服していた。仲間の何人かは学校に見つかり、停学を喰らったそうだが、なぜか志茂田は平気だったという。その理由を尋ねると「うちは父親が厳しくて、僕のお姉ちゃんをしょっちゅう叱ってて。お姉ちゃんは立川の市役所に勤めていたんですが、モダンな人でね、赤いハイヒールを履いてたんだけど、親父はそれが許せなかったみたいで、ハイヒールを投げ捨てていましたから。そんな様子を見ていたから、どうやったら怒られないのか、要領を得ていたのかもしれませんね」と、煙草を燻しながら人懐っこい笑顔で答えてくれた。

そんな話を聞いて疑問に思うのが、志茂田の服装。赤いハイヒールがダメで、タイツ・ファッションを厳格な父親が許すはずがない。だが、「それに関しては全然大丈夫でしたね」と飄々と教えてくれた。

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