ポケモンGOの成功を探る:ライバルとなる類似ゲームは現れるのか?

ポケモンGOが社会現象となって成功を収めれば、続いてリアルな世界とリンクし位置情報をベースにしたゲームのブームが来るだろう。ポケモンGOをプレーしたことのあるほとんどすべてのプレーヤーが、リアル世界で他のポケモンハンターと遭遇した経験があるだろう。リアルな経験を共有する合理的な文化的現象で、偶然性も特に重視したゲームといえる。

ポケモンGOのライバルにとって位置情報ベースの技術はハードルの高いチャレンジであるが、同時にポケモンGOは、リアル世界とバーチャル世界を融合させた拡張現実(AR)の最大のテストケースとなる。先に述べた通り、位置情報をゲームに採り入れたのはナイアンティック社が初めてではない。2009年、バルセロナのNovarama社がプレイステーション・ポータブル向けの『Invizimals』をリリースした。このゲームも、自分の街でモンスターを捕らえ、バトルするという内容だった。

ARを採用したポケモンGOは、技術の集大成というよりはキュートなビジュアルトリックといえる。ゲームのマーケティング計画段階で描かれた壮大なビジョンを実現するまでは、とても長い道のりだったに違いない。ARの究極の可能性を明確に示した例が、マイクロソフト社がアイディアを長い間温めていたホロレンズで、ARをヘッドセットの中に取り込んだウェアラブルデバイスである。ホロレンズのゲームデバイスとしての可能性は、ゲームショーE3 2015で行われたマインクラフトのデモンストレーションで証明されている。ロボットが壁を通り抜けるデモ映像は、まるで映画のマイノリティ・リポートから飛び出してきたようだった。マイクロソフト社のCEOサティア・ナデラ氏は、ポケモンGOの目覚ましい成功に大いに感化されたようである。「このポケモン・ブームがホロレンズにも良い効果をもたらしてくれれば嬉しい」と、CNBCのインタビューに答えている。

ベースとなる技術がなければポケモンGOは成り立たないが、ポケモン・ブランドの存在がなければこの社会現象は起こり得なかった。「ポケモンは、とても強力で愛らしいブランドである。ポケモンGOの成功を再現することは誰にもできないだろう。まず開発者たちはよりクリエイティブになり、ポケモンGOが開拓した世界に飛び出さねばならない。つまりポケモンGOに近いクローンゲームは、そんなに多くは世に出てこないだろう。もし出てきたとしても、成功するのは難しいと思う」と、「いつ頃ポケモンGOのクローンが出現するか」との問いに対し前出のKabam社のローブ氏は答えている。

Translation by Smokva Tokyo

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