20年続く会員制バー・カスバの増田令子が語る「店作りの原点」

By RollingStone Japan 編集部 2016/08月号 P108〜109 |
書棚には、映画などのDVDがびっしり。(Photography by Yusuke Yamatani)
ローリングストーン日本版 2016年8月号 
RS Life Style 物作りの原点:増田令子

言霊を信じてるので、やりたいことは必ず発信します。


バーの名は、カスバという。恵比寿と渋谷の間あたり、大通りから少し入った路地に面したビルの地下にある。一見さんはお断りの会員制。数席を擁するカウンターの周りに小さなテーブルが所狭しと並ぶ。20人も入ればほぼ満員といった感じで、お世辞にも広いとは言えない。だが、常連の名を挙げれば、誰もが知るような著名人も多い。この小さな『城』を切り盛りする主人が、増田令子である。客は皆、口を揃える「レイコと過ごす時間が楽しいんだ」と。オープンは1996年。都内で飲食業が3年続けば御の字という中で、驚くべき長さの20年。どんな思いで店を立ち上げたのか。

「路駐できる店にしたくて(笑)」とうそぶきつつ、「年齢や性別を越えて気の合う人たちが通いやすいバーを作りたかった。昔の老舗バーって、年配の常連が年功序列で陣取る、みたいな無言のルールがあって入りにくかったから。単なるバーじゃなくて映画や音楽、アートなど、サブカルチャーも語り合える場所にしたかった。やっぱり気の合う人たちと楽しく過ごしたいでしょ。違うジャンルの人同士でも気が合えばOK。人と人とが気が合って自然発生的に仲良く繋がっていくのを見るのが快感!」と冗談めかして語るが、カウンターから向ける眼差しは洞察力に満ち、その所見を決して忘れない記憶力も持っている。「あのデザイナーがうちに来たのは○年前だね。○○さんが連れてきた」というように実に的確なのだ。それは、まるで5つ星ホテルのドアマンのよう。「芸能の仕事をしている子が、売れるかどうかを見抜く力も持っているかも。エネルギーでわかるの。芸能に限らず『キミ、絶対売れるよ!』ってスカウトの仕事したいくらい(笑)」と非凡な才能も持ち合わせる。
Direction&Interview by Tadashi Mochizuki / Text by Masashi Takamura / Edit by Hiroshi Kagiyama

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