ヒップホップ史における重要な立役者「ラメルジー」とは何者か:死後評価が高まってる秘教的な作品と生

By Hiroshi Egaitsu 2016/08月号 P44〜45 |
ラメルジーは1998年から数回に渡りパフォーマンスとレコーディングのために来日している。今はなき西麻布のクラブYELLOWでの"ヴェイン"というキャラクターでのライヴ。当時のセッションのリミックスが今年リリース予定。(Photography by Mari Horiuchi)
ローリングストーン日本版2016年6月号掲載

ラメルジー、視覚的言語の確信犯。
文字と言語の編纂と制限の理論と物語、"ゴシック・フューチャリズム"、"偶像破壊武装主義"、そして"アルファズ・ベット"を掲げる唯一無二のアーティスト、ラメルジーの秘教的な作品と生。


ニューヨークから世界に広まったヒップホップの歴史の初期の重要な立役者、ラメルジーは、(グラフィティ)ライターで、MC、コンテンポラリー/パフォーマンス・アーティスト、アニメ・プロデューサー、そして理論家でもある。2010年に彼は死んだが、残された作品はロサンゼルス現代美術館やニューヨークのPS1などメジャーなミュージアム、日本でも水戸芸術館などにこれまで展示され、その評価はどんどん高まっていく一方だ。なぜだろう?

2012年に彼のアルファベットの形をしたアート作品"レター・レイサー"を展示したギャラリー、スザンヌ・ゲイズのギャラリストは「ラメルジーを美術史のなかに位置づけることが重要」という。

ラメルジーという奇異な名前を持つこの人物のヒップホップの世界での評価は以前から高かった。より正確には、危険を顧みず1970年代にニューヨークの地下鉄システムに潜入し、列車の車両をグラフィティで装い飾り立てたラメルジー自身がヒップホップ・カルチャーを作ってきた人物なのだ。彼が生前残した決して多くないレコーディング作品のひとつ、K ーロブとのコラボレーション『ビート・バップ』は、史上最も高価なリミテッド・エディション(オリジナルは500枚のみ)のヒップホップのシングル・レコードだ。だから、彼の遺したものがシリアスな"アート作品"として価値を増していくのは、ヒップホップ・カルチャー自体が私たちの住むこの21世紀の社会のなかでの重要度を増していることと明らかな関係がある。
Edit by Hiroshi Kagiyama, Shun Sato

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