映画『ゴーストバスターズ』:オール女性キャストによるリブート映画

登場人物のバックグラウンド・ストーリーに過剰なほどに無駄な時間を費やした後、やっと幽霊退治が始まる。それからしばらくの間、4人は霊柩車を改造したエクト1(ゴースト退治専用車)を乗り回して騒ぎ、やがてロック・コンサート会場を舞い狂う飛竜のような幽霊を捕まえる。いじめに遭った男(ニール・ケイシー)が超常現象を用いて残酷な世界に復讐するというサブプロットは、あまりにも普通過ぎる。そして明らかに新しいテクノロジーの神業に夢中になっているフェイグ監督は、VFX(Visual Effects・映像効果)にペダルを傾け過ぎている。ストーリーの終盤3分の1は、デジタル情報でめまいがするようなシーンばかりで、メガピクセルのせいでキャラクターをほとんど見ることができない。これは残念だ。なぜなら見るべき価値があるのは、脚本の中のデッドスポットをかいくぐることができる才能ある女優たちなのだ。マッカーシーとウィグは、以前演じた役柄のパラメーターの範囲内であったとしても、それでもやはり素晴らしい仕事をする。そしてサタデー・ナイト・ライブを見た人なら、ジョーンズがいかに独特のスタイルと立ち振る舞いで大きな笑いを取っているか知っているだろう。

マッキノンは驚くべきことに、サタデー・ナイト・ライブでMVPも獲得している(彼女のヒラリーのモノマネは以前から有名だ)。彼女はエネルギッシュで、あらゆる身振りやリアクション、行間を読む能力も新鮮で突拍子が無く、浮かれ騒ぐ地獄の炎が自然発生しているかのようだ。彼女がプロトンパックでベトベトした悪霊の塊を狙い、「照らして!」と大声で叫ぶときの表情には特殊効果はない。彼女は間違いなくこの起伏のあるリブート作品を輝かしいものにし、作品中でエリンが「女たちは幽霊を捕まえないだろう」というインターネット上の中傷を読んだときにも、実際にその中傷を認めている。賭けてみようか? スライムのようにベタベタした幽霊退治に欠けているものは、CGのギミックに頼り過ぎたこととテンポだけで、女優たちには何の落ち度もない。マッチョな男が大騒ぎするこの夏に、彼女たちは間違いなくものすごく士気を高める方法を知っている。

Translation by Yuka Ueki

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