ビリー・ジョー・アームストロングが語る、グリーン・デイの挑発的なニュー・アルバムの内幕

─ロブ・カヴァロやブッチ・ヴィグとタッグを組むことに慣れていたと思うので、困難なこともあったのでは?

えっと、ありふれたサウンドやこれまでのものに似たサウンドにならないように、曲をアレンジすることが難しかった。それが難しいところだったね。曲を作ったり、音を加えるプロセスは楽しくて。歌詞を考え出して、全てがうまくフィットするようなアレンジを見つけるわけでしょ。パズルをするのと一緒さ。

アルバムでは、ジミー・ペイジみたいなボウイング奏法もけっこうやってね。「わぁ、他にそんなことやってる人、聞いたことない」ってみんな言ってたけど、『アウトローズ』とか『フォーエヴァー・ナウ』とかで、弓を使ってストリング・アレンジするようなものだったんだ。かなり楽しかったね。

─『スティル・ブレシング』は、過去数年間のあなたの個人的な問題について歌った曲だと解釈するファンもいるでしょう。でも実際は、あなただけのストーリーではなくて、多くの人に当てはまるもののように思えます。

そうしようとしたんだ。自己中にはなりたくないし(笑)。過去のことじゃなくて、未来のことについて曲を作りたいと思ってる。みんなが曲に共感して、ハッピーになったり、何らかの形で影響を与えることができればと思ってる。

─マイクの奥さんとジェイソンの癌との闘いは、アルバムの制作に影響を与えましたか?

2人に限定されることを曲にしようと思ったことはないけど、当然、時が経つにつれて「マジかよ。人生はこんなにも厳しいものにもなり得るんだ」って思えてくるものだと俺は思ってる。だから、アルバムにもおそらく影響してるんだろうなと思ってる。でも俺は、誰かの家族の危機とかそんなものを書くような、浅はかなヤツにはならない。

─プロセス全体のペースを落とすことになったでしょう。

そうだね。俺たちは何もしなかった。ほら、何よりもそれが優先事項だったから。俺にとって、彼らは家族の一員なんだ。みんなに何かするように迫ったりなんてしたくなかった。そうしたって、何の意味もないし。俺は何もする気がしなかった。手足を失ったみたいにね。そのことを知って、クリエイティヴになれないし、あの状況の中でクリエイティヴになろうとする厚かましさも俺にはない。


「今回は、スタジオに入って自分たちの力でやるっていう自由を味わいたかっただけ」とビリー。2016年オークランドにてグリーン・デイのメンバー(Photo by Tim Mosenfelder/Getty Images)

─アルバムのサウンドは、どのようにまとめられたのでしょうか?

俺たちは、流れに任せたんだ。実際は、OTISっていう自分のスタジオに入って、マーシャルにレスポール・ジュニアを繋げて、「それじゃ始めよう」っていう感じかな。基本的にはそういう感じで始まったんだ。レコーディングした時、ドラムに違う味を出してほしいって思ったんだ。確か最初の週は、4種類のバスドラを使って、典型的じゃないサウンドを見つけることにして。それから俺たちは、トムトムまでも使ったんだ。そう、マニアックなことをね。

Translation by Miori Aien

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