21位『ウィー・アー・ザ・ベスト!』(2013年)

スウェーデン人監督のルーカス・ムーディソンによる、1980年代初頭のストックホルムを舞台に3人の少女がピュアな反骨精神を体現する痛快な本作は、まさにパンクムービーと呼ぶにふさわしい内容となっている。女子にロックのことはわからないとする男子たちに憤りを覚える3人の少女(ミラ・バークハンマル、ミラ・グロシン、リヴ・ルモイン)はバンドを結成し、運動嫌いの子供たちのアンセム『ヘイト・ザ・スポーツ』など、子供たちが抱える反抗心をロックで表現してみせる。女性蔑視への反発、そして言葉にできない感情を表現する手段としてのラウドミュージックへの渇望を描いた『ウィー・アー・ザ・ベスト!』は、誰かと力を合わすことでどんな夢でも叶えることができるというマニフェストだ。世界を変えるために必要なもの、それはいくつかのパワーコードだけだ。TG


20位『X: The Unheard Music』(1986年)

数多くのパンクバンドを生み出した街ロサンゼルス。オールドスクールなロカビリーにインスパイアされた音楽性と初期衝動を武器に、都会に生きる若者の葛藤を歌ったバンド、Xもまたそのひとつだ。W.T.モーガンが監督を務めたこのドキュメンタリーには、『ザ・デクライン』のような明確なコンセプトこそ欠けているものの、エクセン・サブンカ、ジョン・ドー、ビリー・ズーム、D.J.ボーンブレイクの4人が秘めていた大きな可能性は、『The World’s a Mess, It’s in My Kiss』のクライマックスにおけるエクセンの鬼気迫るパフォーマンスが物語っている。DF


19位『Dance Craze』(1981年)

イギリスにおける2トーン・ムーヴメントの狂騒を描いたこのコンサート・ムービーは、女性フロントマンの存在(ザ・ボディスナッチャーズ、ザ・セレクター)や、Spirit of ‘76のエネルギーを体現するバンドのパフォーマンス等(バッド・マナーズのフロントマン、バスター・ブラッドベッセルがスキンヘッドに血管を受かび上がらせて熱唱する姿は必見)、ロックステディのバンドたちが初期のパンクムーヴメントから受けた影響の大きさを物語っている。ポークパイハットとスーツに身を包んだ彼らのアティテュードは、ボンデージパンツとレザージャケット姿のパンクスたちのそれと少しも違わない。スペシャルズのコンサートでオーディエンスがステージに押し寄せ、バンドと一体となって『ナイト・クラブ』を合唱するエンドクレジットのシーンは、パンクムービーの歴史に残る名場面だ。ルードボーイたちよ、カム・アゲイン!DF

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