15位『My Degeneration』(1990年)

アート・テロリストの異名を持つアンダーグラウンドの映画監督、ジョン・モリツグは本作でショービジネスの世界における深い闇を、ざらついた16ミリフィルムで描いてみせた。ローファイ・パンクの世界で成功を収めた女性3ピースバンド、バニー・ラブは牛肉業界の顔となり、メンバーの1人は腐敗した豚の頭部に恋をする。サウンドトラックに収録されたボミット・ローンチやボンウォーターによる楽曲は、セルアウトを至上の悪とする本作のコンセプトと見事にマッチしている。(本作はニルヴァーナが大ブレイクする1年以上前に発表されている)パンクロックについての映画は無数に存在するが、これほど過激で怒りに満ち、高潔さをもって徹底的にDIYを貫いたパンク・ムービーは他にない。DF


14位『The Punk Singer』(2013年)

パンクは若者のための音楽なのだろうか?元ビキニ・キルのキャスリーン・ハナのドキュメンタリー映画である本作は、その偏見を真っ向から否定するとともに、ライオット・ガール・ムーヴメントを牽引し、男性上位の社会に中指を突き立てたバンドの軌跡を辿る内容となっている。後に結成するル・ティグレとジュリー・ルインでよりダンサブルな音楽性を模索したハナは、ビースティー・ボーイズのアダム・ホロウィッツとの結婚、そしてキャリアに歯止めをかけた病気など、人生を左右する出来事を数多く経験する。ライム病を克服し、性差別と徹底的に戦うために再び最前線へと復帰した彼女の物語は、現代に生きる女性アーティストたちをインスパイアし続けている。SA


13位『ルード・ボーイ』(1980年)

退屈な日常にうんざりしていたレイ・ゲンジは、ある幸運な出会いをきっかけに、愛するザ・クラッシュのローディーになるという夢を叶える。メンバーが「古典的」なパンクスとして描かれているとして、バンドは監督のジャック・ハザンとデヴィッド・ミンゲイを批判したものの、本作がバンド最盛期の勢いをリアルに描いていることは間違いない。(ザ・クラッシュの盛衰についての作品は星の数ほど存在するが、中でも『ロンドン・コーリング: ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー』は必見だ)バンドが重んじたリベラルな思想、人々を扇動したライブでの熱狂、『ロンドンは燃えている』と歌った彼らの言葉は今なおリアリティをもって響く。DF

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