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Netflix『ゲットダウン』:バズ・ラーマンが描く、ヒップホップ誕生の知られざる物語

CHRISTOPHER R. WEINGARTEN | 2016/08/27 17:00

| バズ・ラーマンが手がけるNetflixの新シリーズ『ゲットダウン』は、1977年のブロンクスを舞台とした、カラフルでクールなグラフィティが満載の作品だ(Photo by Netflix) |


「ヒップホップはあらゆる偏見から解放された、無限のコラージュだ。本当に大切なのは、作品に真実が宿っているかどうかなんだよ」ーバズ・ラーマン

興奮した様子で話すラーマンはソファの端に腰掛け、こう付け加える。「フラッシュが子供たちにブレイクの見分け方を教えるシーンを撮っていた時に、ハッとしたんだ。撮影中、現場では音楽が流れていなかった。少なくとも僕にとっては、撮影中に音楽をかけることは稀なんだ。でも音楽があれば、子供たちはもっと感情移入できるかもしれないとふと思ったんだ。そしたらフラッシュが、撮影した映像をチェックしていた時にこう言ったんだ。「バズ、映像の出来は問題ないと思う。でも、どこかリアルさに欠ける気がするんだ」

ラーマンは現場の演者たちに、爆音で音楽を浴びせかけた。「200人のエキストラを含む全員に、"スイッチ"について教えることにしたんだ」彼はそう続ける。「大音量で音楽を流しつつ、僕がマイクで『スイッチ!』と声を上げたタイミングで音を止める。それでもし現場の空気が変わるようなら、撮影はやり直し。言ってみれば、音楽を頭の中に留める方法を学ぶためのレッスンみたいなものさ」

『ゲットダウン』を特別にしているのは間違いなく音楽だ。今作のためにエディットされたものも含め、6つのエピソードに登場する楽曲のひとつひとつが、まるで優れたDJミックスのようにスムーズに結びついていく。(2017年公開予定の新シーズンは12もしくは13エピソードになる予定だという)ディスコ界の歌姫ドナ・サマーとクラウトロックの雄カンが共存し、現代に生きる男の悲痛な思いを歌うレトロ・ソウル界のホープ、マイケル・キワヌカの曲がルーファス・トーマスのクラシックなブレイクビートと交差する。出演者たちは自分のセリフと音楽を結びつけて記憶するよう、グランドマスター・フラッシュが作ったDJミックスを事前に聴きこんでおくよう指示されていたという。(ラーマンはこう話す「『ミュージカライゼーション』というらしいよ。僕も知らなかったんだ」)ジャクソン5のクラシックにジャネル・モネイを迎えるなど、生まれ変わった過去の名曲群にも注目だ。(ブレイクのない部分が「イケてないパート」と一蹴されてしまうことに配慮した、オリジナルへの敬意を察することができる)

音楽のコラージュというコンセプトは、ラーマンが得意とするパスティーシュ的手法と相性がいい。ブラックスプロイテーション映画、ハリウッドミュージカル、ノスタルジーを喚起させるざらついたアーカイブ映像、そして『サタデー・ナイト・フィーバー』に代表される現実とファンタジーの中間」に位置する70年代のヒューマンドラマまで、『ゲットダウン』には様々な要素が含まれている。本作に登場するヒップホップMCやグラフィティアーティストたちがヒーローもののコミックやSFストーリーに影響を受ける一方で、カンフー映画はそれら以上に重要な意味を持つものとして描かれている。
Translation by Masaaki Yoshida

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