原子力問題で死刑に処せられた二人を歌った、ボブ・ディランの80年代の未発表曲とは

ANDY GREENE | 2016/08/29 13:30

| (Photo by Brian Rasic/Getty Images) |

原子力関連の秘密をソ連に漏らしたとして1953年に死刑に処せられた2人のアメリカ人、ジュリアスとエセルのローゼンバーグ夫妻を情熱的に擁護するこの曲は、『インフィデル』に収録されていなかった。

発表するつもりのなかった作品で、そのアーティストのことを判断するのは大変アンフェアなことである。それは、ライターのゴミ箱をあさり、くしゃくしゃに丸められた紙くずを広げて、それを世界中にさらしてバカにするのと同じことだろう。しかし、60年代終盤からこのかた、ボブ・ディランはまさにこうした状況に直面してきた。「海賊版は本当にひどい」とディランは1985年にキャメロン・クロウに愚痴っている。「ホントにさあ、電話ボックスでやったことまで漏れているんだよ。誰もいなかったはずなんだ。モーテルの部屋で、一人で座ってギターをかき鳴らしているときに、誰かがそこにいるなんて思わないだろ。電話が盗聴されているみたいだ。これでは多くのアーティストが被害妄想気味になるのも無理ないよ」

と前置きをしておいた上で、彼の1983年のアウトテイク『ジュリアスとエセル』を聞いてみよう。アルバム『インフィデル』のセッション中に録音されたこの曲は、原子力関連の秘密をソ連に漏らしたとして1953年に死刑に処せられた2人のアメリカ人、ジュリアス・ローゼンバーグ、エセル・ローゼンバーグに同情的な視線を向けている。「彼らが逝ってしまったからこそ、真実を明かすこともできる」とディランは歌う。「彼らは売り飛ばされた生けにえの子羊、合理的な立証もなされぬまま刑に処された」

Translation by Kuniaki Takahashi

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