マック・ミラーが語る、新作と噂の恋人アリアナ・グランデとのコラボ

─人気が出てきた頃は、巧みに韻を踏むことが重要視されていた気がしますが、どうでしょう?

人気が出てきたのは、16歳の頃だったね。ラップのフォーラムに参加して、一番のラッパーになろうとしてたんだ。創造性のハードルを押し上げてる人たちも全員、このことに関心を持ってるってことを、頭に置いといてくれるかな。韻を軽視してるわけじゃない。そこには、それ以上のものがあることが分かってるだけなんだ。90年代は、誰かに対してラップして、それが十分に良かったら、契約って感じだった。今はほとんどの場合で、どんな音楽を作ってるか、何をやってるかだと思う。

─今作では、あなたもたくさん歌っていますが、『God Is Fair, Sexy, Nasty』のケンドリック・ラマーは、ラッパーというよりも、楽器やテクスチャー的な役割を果たしていますよね。

声ってね、いろんなことができるんだ。俺たちは、生涯を通じて音楽を作ってるわけでしょ。なんで全てに挑戦しないんだ?なんで自分の声でできることを無視しなきゃいけない?なんで自分に限界を設けないといけないんだ?馬鹿げてるぜ!俺は、普通の9時5時の仕事を選ばなかった。タイムカードを切る仕事を選ばなかった。でも俺は、自分に何ができるかを確かめることを選んだんだ。毎日、自分の声について新しい発見をしてるよ。

─アリアナ・グランデとコラボしたのは、ずいぶん前ですね。彼女の鮮烈なシングル『The Way』でコラボして、今回はその彼女が『My Favorite Part』に参加していますが、ファンが予想するようなポップな曲ではないですよね。

俺が彼女に連絡を取って、このアルバムに参加してほしいって伝えたんだ。ケンドリックの場合と同じだよね。ほら、俺とケンドリックのコラボって聞いたら、ケンドリックがラップしてるって思うでしょ。で、俺とアリアナのコラボって聞いたら、「あっ、『The Way』みたいな曲ってことか。ポップソングをやるわけね」って思うでしょ。でも違うんだ。言ったように、俗に言うアイデンティティがリストで挙げること以上に、人って有能でいろんなことができちゃうんだ。絵を描くためのキャンバスを彼女にあげたら、とても美しい絵を描いてくれるよ。彼女の歌声が活かされると思った曲で、やっぱりその通りだった。彼女、マイケル・ジャクソンみたいでさ、「わぁ!」って感じ。

―マック・ミラーに対する最大の誤解とは?

なんだと思う?俺は昔、自分が何なのか理解する中で迷子になってたんだ。何回もぶち当たった問題っていうのが、一枚のアルバムの中で俺の全てを見せようとしたことなんだ。今回初めて、「俺のこの一面こそが、このアルバムなんだから、とことんやってやる」って思ったんだよね。現段階で俺の認識が何かなんて、分かる人なんていないよね?正直言って、俺も今は分かってないんだ。なんというか、「あぁ、彼は金持ちの白人の子供」っていう間違いみたいなもの。「彼は薬物中毒者」っていうは君の考え方次第だけど(笑)。現段階で、俺はただ音楽で語りたいんだ。そうしたいんだよね。時間が経つにつれて、みんなにその考えが分かるかもしれないし、分からないかもしれない。でも、分かる必要はない。みんなは、聴くだけで良いんだ。

Translation by Miori Aien

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