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ツェッペリン、アルバム『III』制作秘話:"アコースティック転向"騒動の内幕

Brian Raftery | 2016/10/18 18:00

| (Photo by Chris Walter/WireImage) |


アルバムのB面はオール・アコースティックで、リリース当初はツェッペリン・ファンを戸惑わせた。揺らめく幻想的な『タンジェリン(原題:Tangerine)』は、ペイジとプラントがローレル・キャニオンの音楽シーンにどれだけ注目していたかがわかる。この曲は後に、(訳註:15歳でローリングストーン誌の記者となった)キャメロン・クロウ監督のロック映画『あの頃ペニー・レインと(原題:Almost Famous)』のサントラに採用された。なぜか曲名がスペルミスのまま放置された『スノウドニアの小屋(原題:Bron-Y-Aur Stomp)』は、激しいホーダウンのような曲である。アルバムは、フォーク・シンガー、ロイ・ハーパーに敬意を表した『ハッツ・オフ・トゥ・ロイ・ハーパー(原題:Hats Off to (Roy) Harper)』の印象的なスライドギターで締めくくられる。胸いっぱいの愛を"もっと"(A Whole Lotta More Love)期待していたロック・ファンには、『レッド・ツェッペリンIII』は期待はずれな作品だっただろう。ディラン・ファンがディランのロックへの転向に違和感を感じたのと真逆の現象が起きていたのである。

『スノウドニアの小屋』がプラントの犬のことを歌っているからという訳ではないだろうが、評論家たちはアルバム全体に感じられるセンチメンタリズムに非難を集中し、それに呼応するように売上も減少していった。妖精バンシーが長々と叫び声を上げ、続いてキャンプファイヤーを囲んで歌われる静かな讃歌。何年もの間、『III』はバンドの最低の駄作か、少なくとも方向性の見えない作品として評価されていた。バンドは媚びるためにこのアルバムで感情を素直に表現したのではなく、バンドが生き残るために必要な手段だったということを、ファンも評論家たちも当時は理解していなかった。

「ツェッペリンが長続きするためのキーポイントは"変化"さ」とペイジはローリングストーン誌に明かした。『タンジェリン』や『ザッツ・ザ・ウェイ』などの曲は、ツェッペリンが変化する能力のあることや、ただのコミカルなリフ・モンスター集団ではないということを初めて示した。

アルバム『III』をツェッペリンの"成熟した"作品であるとみなすのは難しい。結局のところ、このアルバムはヴァイキングの一人称の物語で始まる作品なのだが、とにかく、彼らが愛し影響を受けたブルースやフォークソングの深さや感情表現力を持つ曲をツェッペリンも書ける、ということを証明した作品でもある。「サード・アルバムは最高のアルバムだ」と後にプラントは語っている。「もしツェッペリンをヘヴィメタル・バンドだという奴がいたら、サード・アルバムがその言葉を打ち砕いてくれるさ」。

Translation by Smokva Tokyo

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