ザ・シュライン:ドッグタウンが生んだ、新世代スケートロックの覇者

By Eric Hendrikx
「誰もこの街からスケートとサーフィン、そして音楽を奪うことはできない」ージョシュ・ランドー(ザ・シュライン)Photo by Eric Hendrikx
ロサンゼルスの空プールを居場所とするスケートボーダー3人が鳴らす、ブラック・フラッグやシン・リジィを彷彿とさせるヘヴィ・ロック。

1970年代初頭、南カリフォルニアが深刻な干ばつに見舞われた時、住民たちは飲み水の確保に躍起になっていた。ある人々は自宅のプールを空にしなくてはならなかったが、後にその跡地は思わぬ形で利用されることになる。サーフィンボードをスケートボードに持ち変えたならず者たちにとって格好のスポットとなったその場所で、彼らは新たなスケートのスタイルを生み出した。トニー・アルバ、ステイシー・ペラルタ、ジェイ・アダムスという猛者たちを擁したZボーイズによるドッグタウン伝説はここから始まり、彼らはサブカルチャーとしてのスケートボードを確立してみせた。彼らの存在無くしては、スケートボーディングがカリフォルニアにおける文化の一部となることは決してなかっただろう。

あれから40年後の現在、ドッグタウンに生きるジョシュ・ランドーはスケートボードに飛び乗り、フェンスの向こう側にある空プールを探し求めて、その長い髪をなびかせながらロサンゼルス郊外の荒廃した通りを駆け抜けていく。夏場の猛烈な暑さにも、彼らが波打つコンクリートへの欲求を失うことはない。そこがベル・エアの高級住宅地の空プールであれ、ロサンゼルス郊外で話題の新たなスポットであれ、そういった場所は新旧のスケーターたちを磁石のように引き寄せる。「最高のスポットを求めて古い家の壁をよじ登る、これ以上のスリルはないぜ。どっかの空プールでトニー・アルバが滑ってたりするんだからな」ランドーはそう話す。

しかしランドーの興味は、フェンスの向こう側の空プールで体に無数の傷を作ることだけではない。コートニー・マーフィーとジェフ・マーレイと組んだヘヴィなサイケロックバンド、ザ・シュラインで彼はギターヴォーカルを担当する。2008年の結成以来、3人が「サイケデリック・ヴァイオレンス」と表現するラウドなロックは、ブラック・フラッグやシン・リジィと頻繁に比較されてきた。生まれ育ったドッグタウンへの愛は、彼らに思わぬ恩恵をもたらしたとランドーは話す。「バンドそのものが会社になったようなもんなんだ。そのおかげで、俺たちはお先真っ暗のレコード業界に飲み込まれずに済んだんだよ」

ロサンゼルスの伝説的スケーターたちのDIY精神を引き継ぎ、ザ・シュラインはレコーディングかやグッズのデザインだけでなく、ツアーやライブの企画までを自分たちでこなしている。手作業でペイントした限定品の軍隊用ヘルメットの販売から、無数のストリッパーを招いたドラッグと酒まみれのリリースパーティまで、自分たちのスタイルを貫くザ・シュラインを支持するファンは増える一方だ。独自のスタイルで商業的成功を収めてみせたザ・シュラインは、今や世界中のフェスティバルに引っ張りだこであり、仲間意識が強いスケーターのコミュニティから絶大な支持を得ている。スケートボードで彼らのライブに向かい、レコードやグッズを買い漁るファンの中には、バンドの狼のロゴのタトゥーを入れている者もいる。
Tranclation by Masaaki Yoshida

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