イギー・ポップとジム・ジャームッシュ監督が語る、ストゥージズのドキュメンタリー映画

ー作品の構成はどのように決定していったのでしょう?

ジャームッシュ:最初のうちはバンドに近い人たちのインタビューだけで構成するつもりだった。個人的には(デヴィッド・)ボウイやジョン・ケイルとかの話を聞きたかったけど、アシュトン兄弟やマイク・ワット、ジェームズ(・ウィリアムソン)、ダニー(・フィールズ)といった面々のストーリーが中心になる予定だった。でも気が変わって、バンドが史上最高のアルバム3枚を残して解散し、メンバーがバラバラになった1973年から物語を始めることにしたんだ。スコットはこう言ってた。「俺ん家にはベッドすらなかった。アナーバーの実家に行くバスのチケットを買うために、俺はドラムキットを売らないといけなかった」悲しいほどにリアルなそのストーリーが、この作品の始まりであるべきだと思ったんだ。それがきっかけで作品の構成を見直すことになった。バンドのインスピレーションやバックグラウンドは、全部イギーと他のメンバーたちとの出会いから生まれたんだよ。

ーあなたとスコット・アシュトンが共にインタビューを受けている映像は、彼がこの世を去る直前に撮影されたものですよね。

ポップ:そのとおりだ。やつを出演させるのには苦労したよ。

ー彼は出演を渋っていたんですか?

ポップ:スコットはそういうのが苦手だったからな。やつとは連絡を取るのも一苦労だった。1ヶ月間音信不通なんてことはしょっちゅうだったよ。

ジャームッシュ:(2011年に行われた)ロンの追悼式典に出席するためにアナーバーにいた時、俺たちは何度もスコットに取材しようとしたんだけど、気付いた時にはいつもトラックで走り去っちまってるんだ。

ポップ:あの映像を録ったのは2013年の5月だ。やつがマイアミに来て、何日かスタジオでジャムったんだ。俺がギターを弾いて、やつはドラムを叩いたんだけど、その時の音源は俺が持ってるよ。ロンがイカしたギターを弾いてるスコットとのジャムセッション音源があって、俺がヴォーカルを乗せようとしていた時に、スコットはいろいろとアイディアを出してくれた。セッションを終えた後、撮影に協力してくれって頼んだら了承してくれたよ。いろいろと手間のかかるやつだったんだ。

Translation by Masaaki Yoshida

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