ボブ・ディラン、ゴスペル時代のブートレッグ・シリーズのリリースを画策

ANDY GREENE | 2016/10/24 15:00

| ボブ・ディランは、ゴスペル時代のスタジオ&ライヴ録音の楽曲を含めたボックスセットのリリースを計画している。(Photo by Larry Hulst/Michael Ochs Archives/Getty Images) |

ボブ・ディランは次にリリースするボックスセットには、1979年〜1981年のゴスペル傾倒時代の曲を収録したいと思っているという。

ボブ・ディランの新しいボックスセット『ライヴ1966(原題:The 1966 Live Recordings)』は2016年11月11日に店頭に並ぶ予定だが、ディランのスタッフは既に次のアーカイヴのリリースを模索している。ディランは、ブートレッグ・シリーズの第13弾は、1979年〜1981年のゴスペル傾倒時代のボックスセットにしたいと熱望している。ボックスセットのもうひとつの有力候補は、アルバム『血の轍(原題:Blood on the Tracks)』レコーディング時のセッション(1974年)である。

ディランのチームに近い情報源は、「個人的にはゴスペル・セットはとても魅力的だ」という。「『血の轍』のセッションの場合、『ザ・カッティング・エッジ1965-1966(原題:The Cutting Edge 1965-1966)』と曲は違うものの、曲ができあがっていくプロセスを聴かせるという似たような作りになるだろう。ゴスペル・バージョンには、見過ごされてきた多くのものが含まれる。ボブはここ数年、ツアー中にゴスペルの曲を引っ張り出していろいろやってみているんだ。常に変化しているね」。

ディランの短いゴスペル時代は、彼のキャリアの中で最も論議を呼ぶ時期のひとつである。ゴスペル時代は、『スロー・トレイン・カミング(原題:Slow Train Coming)』がリリースされた1979年8月に始まった。このアルバムには、ディランが福音教会の洗礼を受けた影響の濃い8曲が収められている。『プレシャス・エンジェル(原題:Precious Angel)』で彼は、「俺の友だちを名乗る奴らは魔力にかかってしまった」と歌う。「彼らはまっすぐ俺の目を見つめて言う/すべてOK/神に殺してくれと頼んでも死ねないとわかったとき/天から降りてくる暗闇を想像できるかい?」

このアルバムはビルボード・アルバム・チャートの第3位に入り、広く好評価を得た。しかし1979年9月に始まったツアーでディランは、ゴスペル以外の曲を1曲も演奏しなかった。そしてほぼ毎晩のようにオーディエンスに向かって説教を行った。1980年5月15日、ピッツバーグのスタンレーシアターでのライヴ中、「イエス・キリストについて話そうとする人間はそう多くないだろう」とオーディエンスに語り始めた。「ジャクソン・ブラウンは違う。彼は孤独なランナー(running on empty)だ。ブルース・スプリングスティーンも違う。彼は明日なき暴走(born to run)を続けている。ボブ・シーガーは、風に逆らって走り続けている(against the wind)。誰かがやらなきゃいけない。誰かが、"みんな自由だ!"と言わなきゃいけない。イエス・キリストが身代わりとなってくれたおかげで、俺たちは自由なんだ!」

『スロー・トレイン・カミング』に続いて1980年、『セイヴド(原題:Saved)』をリリースしたが、これも宗教に影響を受けた曲が収録された。その年もゴスペル・オンリーのライヴが続いた。所が1981年の『ショット・オブ・ラブ(原題:Shot of Love)』は宗教曲と宗教とは関係のない曲とがミックスされ、その後のツアーでは多くのゴスペル曲と同時に60年代のヒット曲も演奏した。「1981年のライヴはすべて本格的にレコーディングされた」と情報源は明かす。「さらに未公開のビデオも多く残されている。YouTube上に公開されているビデオとは違って、想像を超えたもっと興味深いステージ上の映像が存在する。それがまさにリリースされようとしている」。



1975年〜76年のローリング・サンダー・レヴュー・ツアーを収めたドキュメンタリー映画も製作中である。ほとんどの映像は1978年の映画『レナルド&クララ(原題:Renaldo&Clara)』のために撮影されたものだが、ツアーに参加したメンバーたちのインタヴューも何年もかけて撮影されている。「間もなく映像を見ることができるだろう。2年以内に見られると思っている」と情報源は語る。

いつの日かタルサ大学を訪れれば、ディランのステージとスタジオで録音されたすべての音源を聴くことができるようになるだろう。大学には、ディランが「果てしない海」と呼ぶ、彼のアーカイヴが保管されている。アーカイヴはデジタル化され、訪問者はコンピューターを使ってアクセスできるようになる予定である。「ディランのデータベースのようなものが作られるだろう。現在大学側では膨大なコレクションと格闘しながら、その公開方法も検討している」と、情報源は明かした。
Translation by Smokva Tokyo

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