未成年者が性的写真を送る「セクスティング」は犯罪か?

しかし、他の多くの少年・少女はというと、彼女たちのような幸運に恵まれていないのが現状だ。セクスティングを取り巻く法律は、非常に混沌とした状態である。検察官が、同意の上で自らの写真や動画を撮影した子供たちを児童ポルノ法に違反していると起訴し始めたのは、セクスティングが流行した2000年代後半のことだ。児童ポルノ法は、未成年者を守るための法であり、未成年者を取り締まるべき法律でないことは明白だろう。しかし、この傾向を変えるには遅すぎるようで、裁判所と州議会は、多くの場合で未成年者を児童ポルノ法で取り締まっている。その代わりに、州議会は児童ポルノ法を改正し、未成年者の刑をより軽く設定したり、未成年者にダイバージョン・プログラムの機会を与えてきた。あるいは、未成年者によるセクスティングを独立した犯罪とする新しい法律を成立させてきた。

しかしこれでは、検察官に子供たちを過度な罪で起訴する多くの方法を与え続けることになる。さらに、ブル氏のような善意のある検察官を、困難な状況に追い込むことにもなり兼ねない。幅広く支持されているセクスティングが刑事問題であるという考え方、法執行機関が女性に対する性的搾取を深刻に受け止めないという蔓延した批判を考えると、ナンシーの両親と学校にこの問題を対処してもらうという選択肢は、ブル氏には残されていない。だからこそ、ブル氏は手段を講じ、親の中には「スラット・シェイミング」だと判断するプログラムを、セクスティングの危険性を理解していない子供たち全員に提供しようと考えたのだ。

セクスティングという軽率な行動を取った生徒を再教育するのではなく、さらに広範な手段を講じ、標準カリキュラムの中で全生徒に対してセクスティングの危険性を教育する方が、より効果的で羞恥刑的な要素も軽減できるのではないだろうか。同意の上でのプライベートなセクスティングは、性感染症や妊娠を引き起こすことがない、害のない性的搾取だと考えられてきたが、犯罪化の時代の中で、安全なセクスティングなどあり得ない。このことを、子供たちは理解しておくべきなのだ。

セクスティングでの起訴は、私たちが問題を解決するために、懲罰的な刑事司法制度に頼りきっていることについての訓話なのだ。そしてこのことは、同意なしに私的な写真を他者と共有する同意なしのポルノ、リベンジポルノを取り締まるための法律を制定する際に、特に留意すべきである。

最近の調査では、プライベートな写真を受け取った4 人に1人が、相手の許可なしにその写真を転送したことがあることを認めている。同意なしのポルノを禁止するという連邦法案は、そういった全ての人を、5年の実刑判決と生涯性犯罪者として登録されるというリスクにさらすことになる。その中には、悪意のある元配偶者や元交際相手もいるが、その他の多くはというと、単に軽率な人、あるいは子供たちなのだ。新しい法律を検察官が手にする前に、私たちはその他全ての選択肢を考える必要がある。なぜならば、ナンシー・ドウの状況から分かるように、検察官は少々不合理である場合があるからだ。

Translation by Miori Aien

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