映画『Eight Days a Week』はビートルズの音楽的な偉業の数々を追求すると同時に、めったに語られない公民権運動の勝利についても触れている。1964年の夏の終わりに行われた初のフルスケールのアメリカ・ツアーでディープ・サウスを訪れ、そこでメンバーは初めて人種差別の実態に直面した。4人は大きなショックを受け、猛烈に人種差別反対の立場を取るようになった。
窮屈なバックステージのありのままの雰囲気を描いた前作『ハード・デイズ・ナイト(原題:A Hard Day’s Night)』と比べ、大規模予算の付いた『ヘルプ!4人はアイドル(原題:Help!)』(1965年)はフルカラー撮影で、世界中を旅するバンドを描いている。脚本には、ビートルズが訪れたいと思っていたいくつかの海外ロケが組み込まれた。リヴァプールの若者のウィッシュリストに太陽の光り輝くバハマのビーチが入るのは理解できる。しかし実際は、ジョージ・ハリスンにつきまとう税務署員から逃れるための渡航だった。