ボブ・ディラン、ロンドンで新しいアート展を開催

By Ryan Reed
ボブ・ディランは、ロンドンのハルシオン・ギャラリーで行われる、リアリズムを追求したシンプルなテーマに基づく新たなアート展「The Beaten Path」について語った。(Photo by Michael Kovac/WireImage)
アメリカの風景を描いた水彩画、アクリル画、スケッチなどの作品を披露するアート展の開催を宣言。「理想を描くのでなく、現実を表現した」とディランは語る。

ボブ・ディランはヴァニティ・フェア誌に寄せたエッセイの中で、自身のヴィジュアル・アートのインスピレーションとなるものについて語ると共に、アメリカの風景を描いた水彩画、アクリル画、スケッチなどの作品を披露するアート展「The Beaten Path」の開催を宣言した。「私自身を含め、これら一連の作品を見る誰からも誤解や曲解されないようなものを作りたかった」とディランは、2016年11月5日(現地時間)よりロンドンのハルシオン・ギャラリーで開催されているアート展で公開する作品について語った。

2004年に出版された『ボブ・ディラン自伝(原題:Chronicles: Volume One)』以来となる長文の中でディランは、「アメリカの風景を描く」ことがすべての作品に一貫して流れるテーマである、と述べている。「アメリカ全土を歩きながら、見たものに価値を見いだしていくことを心がけている。流行にとらわれず、裏道を歩く自由気ままなスタイルさ。過去の遺物の中にこそ、将来への鍵が隠されていると信じている」。

「これらの作品は、最も新しいリアリズムだ。静的な昔からの表現方法だが、見かけ上は動きがある。現代世界とは矛盾しているが、それが私のやり方だ。サンフランシスコのチャイナタウンからわずか2ブロックの場所には、窓のない企業のビルが並んでいる。そんな冷たい大企業は、私から見える世界、敢えて見る世界、自分の一部となる世界、足を踏み入れる世界とは全く関係ない。コニー・アイランドにあるホットドッグの屋台から半ブロック先を見れば、高層ビル群が空を覆っている。私はそれらとも距離を置くことにした。ホラー映画『キャビン(原題:The Cabin in the Woods)』に出てくるような小屋から高速道路を挟んだ向こう側には、きれいに刈り込まれたゴルフコースがある。私に話しかけてくる一見価値のない掘っ立て小屋と比べれば、あまり意味がない」。

ディランは、「水彩画やアクリル画は、敢えて感情をほとんど、或いは全く出さずに描いた。もともと感情の高ぶりを表現しようとは思わなかった」とも書いている。

「これは、理想ではない現実と概念を描く試みだった。私は、一般的に普遍化され、誰にも理解しやすく、安定性を生み出す作品の制作を目指した。世の中の様子や無生物(アイスクリーム小屋、アーケード、荒れた空)を描くことに集中した。ダ・ヴィンチの描くぼやけた絵。線ははっきり見えないが、さまざまな色彩の配合で次々と現れる雲が見える。対称的に、モンドリアンやファン・ゴッホは空間を描くのにはっきりとした線を使った。カンディンスキーやルオーはその中間にあたるだろう。私の絵画はその部類に入ると思う」。

2016年10月、ディランに対するノーベル文学賞の授与が発表された。しかしディランが沈黙を続けたため、数週間に渡る論争を引き起こした。アート展が開催される1週間前、ディランはようやくデイリー・テレグラフ紙のインタヴューに答え、受賞について「素晴らしい。信じられない」と評し、「こんなことが自分の身に起きるなんて、想像もつかないだろう?」と付け加えた。

また、2016年12月10日にストックホルムで行われる授賞式には、「"可能な限り必ず"出席するつもりだ」と答えている。


Translation by Smokva Tokyo

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