17歳のラッセルは、タルサからロサンゼルスへ移ってまもなく頭角を現し、街のあちこちのナイトクラブから引っ張りだこになった。この時期ラッセルは、ザ・バーズ、ハーブ・アルパート、フィル・スペクターなどのアーティストと共演している。スペクター率いるザ・レッキング・クルーのメンバーとしてラッセルは、ザ・ロネッツの『あたしのベビー(原題:Be My Baby)』、アイク&ティナ・ターナーの『リヴァー・ディープ・マウンテン・ハイ(原題:River Deep – Mountain High)』などの曲でキーボードを演奏していた。
「マスター・オブ・スペース&タイム」の愛称が付けられたラッセルは、セッション・ミュージシャンとして活躍する傍ら、自らの音楽のレコーディングも始めるようになった。1968年、セッション・ミュージシャン仲間のマーク・ベノと共に、アルバム『ルック・インサイド・ジ・アサイラム・クワイア(原題:Look Inside the Asylum Choir)』を制作した。
それから2年後、『ソング・フォー・ユー(原題:A Song for You)』を含むファースト・ソロ・アルバム『レオン・ラッセル(原題:Leon Russell)』をリリースした。『ソング・フォー・ユー』は、アンディ・ウィリアムス、ダニー・ハサウェイ、カーペンターズ、ザ・テンプテーションズ、さらにはウィリー・ネルソン、レイ・チャールズまでもがカヴァーした。1993年、レイ・チャールズはグラミー賞の最優秀男性リズム・アンド・ブルース・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞した。さらに2005年、ハービー・ハンコックとクリスティーナ・アギレラのデュエットによる『ソング・フォー・ユー』がグラミー賞にノミネートされた。