タイ国王逝去後、民間の服喪期間が明け経済正常化 新国王即位へ

By Ito Wagatsuma
プミポン国王が逝去を悲しむ国民(surassawadee / Shutterstock)
2016年10月、タイ国民に深く敬愛されていたプミポン国王が逝去し、政府は民間企業は1か月間、公官庁は1年間喪に服すことを求めた。観光大国タイの経済ダメージを最小限にするための政府の狙いとは?

タイの新国王としてワチラロンコン皇太子が、12月1日に即位すると内外メディアが報じた。即位するとチャクリー王朝第10代国王となる。

国民に深く敬愛されていたプミポン国王が逝去したのは10月13日だった。重大発表で逝去を伝えた日の夜から娯楽施設は営業を自粛し、歓楽街からは明かりが消えた。

政府は、民間企業は1か月間、公官庁は1年間喪に服すことを求める声明を出し、外国人にも理解を呼びかけた。しかし、同時に人の往来や経済活動への影響がないように空港や交通機関などは通常通りであることを強調した。

大手コンビニエンスストアやスーパーマーケットでは、10月15日から3日間終日アルコール販売を自粛したが、18日には販売を再開。外国人も多いクラブやライブハウス、バーなども19日ごろまでにそれぞれ営業を再開し、歓楽街は平時の賑わいを取り戻した。国王逝去から1か月後の11月14日、政府が民間に対して求めた1か月間の喪は大きな混乱もなく明け、国王逝去後からテレビで放映されていた特別番組も通常番組へ戻された。

「マスタカード」の統計によると2016年タイの首都バンコクを訪れる外国人観光客は世界1位の2147万人と予想している。日本全体を訪れる訪日外国人に匹敵する人数がバンコク1都市を訪れるのだ。

そんな観光大国であるタイは、国王逝去が観光業へ悪影響を与えることを避けたいという狙いがあった。しかも、年間で最も過ごしやすい11月から2月の乾季は、ハイシーズンであり、その中でも12月末のクリスマスと年末年始は、外国人観光客が多く、タイ経済にとってまさに"稼ぎ時"であり、重要な時期である。そのため、政府は、経済へのダメージを最小限にするため民間の服喪期間は1ヶ月であると声明を打ち出し、喪が明けたタイは正常に戻ったことを内外へアピールしたのだ。

外務省の『海外在留邦人数調査統計(平成28年)』によると、タイの在留邦人は6万3691人で年々増加している。大使館へ届けていない人や届ける必要がない観光客を含めるとタイに滞在する日本人は10万人を超えるという。当然ながら多くの日本企業がタイへ進出して経済活動をしている。

この数年、タイ在住の日本人経営者の間では、国王リスクについて話題になっていた。国王が逝去したときにタイでどのようなことが起こるか誰も想像できなかったからだ。内政が混乱して、最悪の場合、流通が止まったり、タイ人従業員が喪に服すと出勤しなくなったりなども考えられたのだ。

「正直、国王御逝去でどうなるのか戦々恐々としていましたが、予想していたよりも影響は少なく、10月14日もスタッフはきちんと出勤してくれて安心しました。私の方が気を使って14日は休んでもいいとスタッフへ提案したのですが、休みを取ったスタッフはいませんでした」(バンコクで飲食店を経営する日本人)

どうやら国王逝去によるタイ経済へのダメージを最小限にという政府の狙いは、今のところ功を奏しているようだ。
Edit by RollingStone Japan

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