クラフトビール界のキーマン、グレッグ・クックが語る:音楽とビールの深い関係

By RollingStone Japan 編集部
11月某日、クラフトビール界のキーマン、グレッグ・クックが来日。
全米屈指のクラフトビール醸造所、Stone Brewing (ストーン・ブリューイング)の創業者であり執行会長(executive chairman)のグレッグ・クック氏が、クラフトビールと音楽の深い関係性、世界のビール事情、ビール造りにかける情熱を語る。

90年代前半、クック氏は音楽業界に身を置きながら、良質のビールを造ると言う信念を胸にStone Brewingを立ち上げ、熱心なファンに支えられながら20年、今では全米で第10位の大きさを誇る醸造所にまで上り詰めた。今でも、素晴らしいビールを探し求め、世界中のありとあらゆる場所に出没している。

熱心なクラフトビール愛好家として、大の旅行好きとして、そして一音楽業界人として、クラフトビール造りにかける思いを熱く語ってくれた。

—リハーサル・スタジオの経営をはじめ音楽業界でもご活躍されていますが、クラフトビールの世界に入ったきっかけとは一体何だったのですか?

僕は、ロサンゼルスで音楽業界の仕事をしていたんだ。その時クラフトビールの存在を知って、すごく興味を持ったんだよ。そして1989年、音楽業界でのビジネスパートナー、スティーヴ・ワグナーと出会ったんだ。彼のバンドが僕のリハーサル・スタジオで練習していた時に初めて出会ったんだけど、その数年後、僕がビールの講座を受講していた時、「あれ。あいつ知ってるぞ」と見たことのある男を見つけたんだ。休憩の時、その男が僕の元にやってきて、「もしかしてグレッグじゃないか?」って。そこから二人でクラフトビールの話で盛り上がったのさ。最初に出会った時は、お互いビール党だなんて知らなかった。それでその数年後、僕らはストーンを始めたんだ。

—すごい偶然ですね。ビール醸造の授業はどちらで受講されていたんですか?

厳格には、ビール醸造の授業ではなかったんだよ。“ビールの官能評価”という名前の1日だけのクラスで、堅苦しくてちょっと眠くなるようなクラスだった(笑)。興味深かい内容だったけど、オタク向けなクラスだったんだ。場所は北カリフォルニアだったんだけど、僕らは二人ともロサンゼルスに住んでるから、同じ日に同じクラスを受けるなんて本当にすごい偶然だった。そこで知り合えなかったらストーンは存在していないし、ラッキーだったね。僕らはそれぞれクラフトビールに心を掴まれ、ビール造りを考えていた。だから二度目の授業で会った時、話はどんどん進んで、家での醸造から、ついにはストーンの設立へとつながったんだよ。

ー音楽ファンにはビール愛好家が多いような気がします。何か共通点があるのでしょうか。

ほとんどの人は気づいていないけれど、ビール醸造はアート、芸術なんだよ。芸術には、作り手の主張や意見が必要。音楽も同じだよ。僕はポップソングみたいに主張のないものは好きじゃない。ただ歌がうまければいいわけじゃないんだ。本物の音楽には、スタイル、キャラクター、情熱、魂がある。それが良い音楽の定義だ。それが芸術のアプローチというものなんだ。ビール作りも同じで、ビールを通じて人々を楽しませるもの。それが共通点じゃないかな。

ビールのレシピを考えるのは、作曲の作業に非常によく似ていると思う。曲を作る時、歌詞が最優先に来ることもあれば、メロディから作り始めることもあれば、即興演奏から生まれることもある。それぞれが歌を作る大切な要素で、どれも欠かすことはできない。インスピレーションはいつどこからやって来るかわからない。ビール造りも同じさ。
Interview by Sahoko Yamazaki (RSJ)

RECOMMENDED

TREND