崇高なエロティシズムに呑み込まれる、篠山紀信展「快楽の館」―原美術館

By Rina Ishii
篠山 紀信「快楽の館」 2016 年 (C) Kishin Shinoyama 2016
原美術館にて天才写真家が仕掛けたエロティシズム溢れるアートスペースが誕生した。展示テーマは、「篠山紀信がカメラによって、原美術館を『快楽の館』に変貌させること」。

天才写真家が仕掛けた甘美な罠により、我々はまんまと空間から誘惑を受ける。

76歳となった今でも第一線を走り続ける写真家・篠山紀信氏が、カメラを用いて鮮やかに織り成す、エロティシズムなアートスペース。それこそが「篠山紀信展『快楽の館』」である。

内外問わず、美術館のあらゆる場所に展示されている77作品は、全て撮りおろしの新作だ。モデルの数は33名、ほぼ全てヌードで構成されている。一般的に「ヌード」といえば、単に性的興奮を誘う材料のひとつとして見られがちかもしれない。しかし、快楽の館で我々を待ち受けている「ヌード」達は、完全に芸術の領域へと昇華している。


篠山 紀信「快楽の館」 2016 年 (C) Kishin Shinoyama 2016

万が一下卑た考えで足を踏み入れようものならば、痛い目を見る可能性が高い。もっとも、恐らく芸術とエロスは紙一重であり、切っても切れない関係性であることは確かだろう。しかし「快楽の館」に飾られている作品群は、その紙一重の危ういバランスを上手く操り、甘く美しいエロスを香らせながら、崇高なアートへと発展している。

篠山氏のレンズによってかけられた魔法により、まさに原美術館は「快楽の館」へと変貌を遂げているのだ。我々は「快楽の館」という罠に掛かり、誘惑と衝撃、そして感銘を受け、作品から放たれる快楽に呑みこまれるほかないのだろう。


篠山 紀信「快楽の館」 2016 年 (C) Kishin Shinoyama 2016

Edit by Rolling Stone Japan

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